難読地名はおもしろい
よくわからないものを、よくわからないだけに一層ありがたがるという悪い習性を持っていることを自覚しています。今それで興味を持っているのはアイヌ語地名。同じ理由で目的もなくセルビア語を勉強したことがあります。(ブログ名の”Gde si brate?”がセルビア語での Hey bro? Hey my brother! what’s going on, man?にあたります。)
根室から浜中町や別海町あたりは酪農が盛んで、チーズのお店などを散見します。根室を出て、厚床で海側に南進、海岸まで出たら右折。難読地名はそのあたりからはじまります。
牛に急接近しびっくりする
海岸の道へおりる道路をゆっくり車をすすめていたら、車に乗ったまま、思いのほか近くで牛が見え、私もびっくりしました。草をはむのをやめたマダラの牛も、びっくりしたなあモウという感じに、こちらをじっと見ている、その牛の顔が面白い。お互いにおもしろい顔してんなモウってかんじか。車から撮影。近いよ(笑)


雨に濡れた牛の地肌が赤く、なんだかセクシー
牛は草食動物なので目が正面になく、正面から見ると目玉が輻輳しないので(無理して輻輳しているのかも)、滑稽な顔になります。内側の白目が隠れないから、外斜視気味に見える。倫敦と巴黎がだめなら、根室と霧多布を同時に見ている感じ。雨にぬれても大丈夫なのかね、まだらの牛たちよ。雨に濡れそぼった牛の真っ白であるべき毛並みの所が地肌が透けているかのように赤茶色がかって見えます。突然のスコールにあい、白いブラウスが雨に濡れて肌にはりついている女学生、そんな風に見えなくもありません。。。
看板に笑うしかない、よめねえ


中標津の宿で、根室から浜中町は難読地名の宝庫、と帳場のおばさんから聞き、まあ正直どんなもんだろうとタカを括ってやって来たんですが、間違い、間違い、読めない、面白い。おばちゃんありがとう。
ゆくべき道を示す看板が「無能な迷える子羊よ、こっちだぞ」と一筋の光明を差さんとすべき場面で、さらに迷いを深めよと言わんばかりにポンとかポロとかナイとか、読めないっす。読みがアリエナイ川、ヤリキレナイ川。
とはいいつつ、よくわからない地名が面白く、一人旅の無聊をいくらか慰めてくれてはいました。下記、アイヌ政策推進局のアイヌ語地名リストを参考に調べてみました。解説を読むと普通腑に落ちるものですが、ますます迷宮に。たのしい。
素敵な女性に”嶮暮帰島・・・”と耳元で囁いてほしい
■恵茶人・・・「えさしと」と読む。あたりに茶屋はない。利休もいない。喫茶店など一軒もない荒涼とした海岸。江差追分のえさし、紋別の北に枝幸(えさし)が同音で、アイヌ語「エサシ」岬、つまり山が海岸にせり出ているところ、地形由来の地名。
■貰人姉別原野線・・・「もうらいとあねべつげんやせん」。。。もうワケがわかりません。ムーンライト、ライムライト。意味がわからず、無駄に漢文読み下しをし、文意を探ってしまう。それが逆に良くない、漢字は音を示しているだけなのだから。
■貰人・・・もえーれあとい モエーレアトイ
moyre=流れが静かな。札幌のモエレ、厚田村のモウライも静か。トイとかトが沼
■姉別・・・あねべつ 細い川の意味。
■仙鳳趾・・・せんぽうじ cepociは小魚のいる所でこの辺ではニシンの事をそう云った。 浜中町はかつて鰊漁で栄えた。
■羨古丹・・・うらやこたん アイヌ語のウライ・ヤ・コタン(uray=簗、梁の部落)
■奔幌戸・・・ぽんぽろと ポロトが大きな沼、or大事な沼。ポントが小さい沼。接頭辞ぽんは小さい。近所にポロトがあって、それよりは小さい沼なのでポンポロト。
■後静・・・しりしず 山が海につきでたところ。山根(山の根本)。岬状に山が突き出た所。要は岬。
■霧多布・・・きりたっぷ 茅を苅るところ。霧の多い所で霧の漢字。正式名称は湯沸岬、霧多布岬が通称。確かにキリタップリだった。
■琵琶瀬・・・びわせ ビバ=カラス貝 セ=殻 美唄市は、アイヌ語「ピパオイ(カラス貝のたくさんいる所)」の音訳
■嶮暮帰島・・・けんぼっきじま え?思わず聞き直しそうです。素敵な女性に耳元で囁いてもらいたい地名日本一です。
■散布・・・ちりっぷ ほりだすもの、→あさりがとれるところ
■火散布・・・ひ・ちりっぷ 大きい貝
■藻散布・・・モ=小さい
■渡散布・・・わたら=海に小島が浮かんでいる場所 ワタラチリップ

<参考>アイヌ政策推進局アイヌ政策課 アイヌ語地名リスト
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/grp/6170P.pdf
松浦武四郎さんの著書は国立国会図書館デジタルコレクションで見ることが出来ます。
コメント
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