久しぶりの広島弁に違和感を覚えた。
両親同士の会話に、常に負の感情がこもっているように聞こえた。事務的に要点を伝えたらいい場合にさえ、いちいち感情を交えているように聞こえ面倒くさい。
面倒くさい表現、それが広島弁である。広島弁のイントネーションは抑揚に富み、表情的にきこえ、話者の正負の感情に基づいているように聞こえる。しかし実はそうではなく、そういう形式である。表現の端々に修飾表現が混ざり、冗長である。意味を汲み取る際に必要のない部分はスルーすれば良い。会話ごとに嫌味をまぜてお互いにヒートアップしていく様子、これさえも方言の会話様式である。
ラグビーの試合前の踊り”ハカ”は、1割の意味に対し残り9割が感情なのではない。9割は形式にすぎない。”ハカ”は挑発の形式であり、見てイラッとして喧嘩を始める対戦相手はまずいない。方言も同様で、感情ではなく形式である。話者は息をするように広島弁という形式を無意識に操っている。そのあいだ、感情はそれほど入ってはいないのである。
つまり、方言というものは形式であり、お作法である。これに気づかないと、ネイティブ広島弁話者の私にでさえ、久しぶりにきいた広島弁が「まるで喧嘩をしているよう」に聞こえ、”ハカ”にまともにとりあうことに相成るのである。
と考えていた時、ふと振り返ったら、両親が本当に喧嘩していた・・・。
久しぶりに広島弁を聞いて枝葉末節を取捨できなくなっていただけかもしれない。車の運転同様、少し空くと最初は違和感があるものだ。

コメント
広島に5年住んでいたことのある僕は、広島弁好きです。
確かに知らないと、喧嘩しているように聞こえることもありますが(笑)
広島弁の女の子も可愛いと思いますよ。
広島で最後に1年過ごした県北の三次は、僕の第2の故郷だと思っています。
あの場所で、自然の美しさを教えていただきました!
コメントありがとうございます。
広島の女の子の広島弁がまた別にあって、それなりにナヨナヨたおやめぶりを発揮します。
ですが、数年を経てお母さんとなり子供を叱る様子の恐ろしいこと、その恐ろしいこと。。。
筆舌に尽くしがたい変貌ぶりです。
三次はたたら製鉄の文化圏で、出雲族の影響が大きいところだと思いますよ。
広島の海側と山側では気質がかなり違いますよ。海側はご想像の通り気性が荒いですね。
なんと、僕はまんまと女の子の広島弁に騙されていたのですね(笑)
広島は井口に4年住んでいましたが、皆親切にしてくださいました。
良い思い出です!
騙されるようなことがあったんですか?!
うらやましい。。(笑)