
マンガンについて調べていたらキリがなくなってきました。ほどほどでまとめてみます。
身近なマンガンというと、昔の電池はマンガン乾電池ばかりでした。マンガン乾電池の正極材はマンガンで、負極は亜鉛です。http://www.baj.or.jp/qa/battery/index.html
菱マンガン鉱は、rhodochrosite ロドクロサイトといいます。その語源ですが。古代ギリシア語のロドクロス ῥοδόχρως (rhodókhrōs, “having rosy colour”) →バラ色の、からきています。ロードン ῥόδον (rhódon, “rose”) +クロス χρώς (khrṓs, “colour”) 、そして接尾辞「~アイト ~ite」は「~石」の意味。
菱マンガン鉱は、変性をうけたマンガン鉱床で見つかります。変性というのは、熱によって性質が変わることです。マグマの貫入によるものを特に接触変成鉱床(=マグマの熱に接触して変性した鉱床)といいます。
菱マンガン鉱の成分はMnCO3 炭酸マンガンなので、「鉱山用語」では「タンマン、炭マン」と呼びます。業界用語を使ってみたい向きには「珪酸マンガン」を「ケイマン 珪マン」ということも併せ覚えておくと、きっと物好きな変態扱いされること請け合いです。
炭鉱用語 https://www.jyoban-coalfield.com/wp/wp-content/uploads/2018/08/200203yougo.pdf
鉄板を作るとき(粗鋼生産)、鋼を強化するためにマンガンを用います。マンガンの最大用途となります。下図は合金鉄のフェロマンガン(鉄の調味料と言われる)の作り方です。これをちょこっと鉄に入れるといい味の鉄(強い鉄)になります。http://www.nippondenko.co.jp/wp-content/themes/nippondenko/pdf/jiten.pdf 新日本電工の資料より引用。

フェロマンガン(合金鉄)を最後の仕上げにちょちょっと入れる。

マンガン鉱の鉱石鉱物は菱マンガン鉱MnCO3の他に次のようなものがあります。ハウスマン鉱Mn3O4、軟マンガン鉱MnO2、クリプトメレンK(Mn2+,Mn4+)8O16、珪酸塩鉱物のテフロ鉱Mn2SiO4、バラ輝石MnSiO3、ブラウン鉱Mn2+Mn3+Si8O12 など。テフロ鉱が接触変成作用を受けて生成したバラ輝石が隣り合っている標本画像が次のリンクにあります。http://www.msoc.eng.yamaguchi-u.ac.jp/collection/element_15.php


パイロクスマンガン石も変性マンガン鉱床で見つかります。珪酸塩鉱物です。閉山した愛知県設楽町田口鉱山(この標本)のものや栃木県粟野町日瓢鉱山のものが国内では有名。田口鉱山は領家変成帯にあります。
領家変成帯は中央構造線の内帯に接する高温低圧型の変成岩帯。



マンガンパイロスマライトは層状変成マンガン鉱床中に産するフィロ珪酸塩鉱物のひとつです。変成作用に加え交代作用によってClを含みます。


コメント
最初のお写真、凍った肉かと思ってしまいました!
あははは。さてはお腹減ってらっしゃいますね。( ̄▽ ̄)確かに冷凍庫から出したばかりみたい。