船方節

菜の花の沖 p343 にいくつかの唄が出てくる。高田屋嘉兵衛は自前の船で日本海を北上し、出雲や敦賀などの湊に寄りながら秋田の土崎湊に。土崎を去り、荒海に出ようとする船の上で、一人の船乗りが高らかに秋田船方節を唄う。土崎湊でのもてなしの余韻冷めやらぬかのように。

宝である砂糖などの品物を満載で入船する彼らは歓迎され、何処の湊に行っても丁重にまるで大名のように扱われます。そりゃあうれしいでしょう!ハイリスクな航海の向こう側に大歓迎が待っているのですから。ゆく先々で覚えた唄も土産に次の湊へ。彼らが伝えた遊里の唄が船方節として各地に存在します。

三十五反の帆を巻き上げて
鳥も通わぬ沖走るそのとき時化に遭うたなら
綱も錨も手につかぬ 今度船乗りやめよかと
とは言うものの漁師には大漁する度旗が立つ
掛け声揃えて朗らかに
「ヤーレンソーランソーランソーランソーランソーラン(ハイハイ!)
大漁手拭い鉢巻しめて 今朝も千石二千石チョイ(下の動画では沖の鴎バージョン)
ヤサエーエンヤ サーノドッコイショ(ハァドッコイショ ドッコイショ!)」
港めがけて入り行く 上がりて妻や子の顔見れば
つらい船乗り 一生末代 孫子の代までやめられぬ

「出雲節」が伝わったのが秋田船方節。「出雲節」は江戸時代に山陰地方の船乗り相手の女たちが三味線と太鼓で唄いました。他にも安来節、岩瀬船方節、直江津船方節などの民謡の源流となりました。船乗りが湊でいい思いをして、その時に聞こえた唄を口ずさみ、伝わって行きました。

船方節を聴きながらお酒を呑むと、お大尽遊びをしている気分です。はい、少しお酒をいただいてます。

高橋脩次郎 秋田船方節 唄:小野花子 akitafunakatabusi takahasi shujiro
秋田船方節

あれ?ドッコイショのところソーラン節の歌詞では。。

調べてみると、民謡は「アンコ入り」という編曲があるそうで、民謡Aの中に民謡Bをはさむのだそうです。サビの部分を他で補う感じでしょうか。唄の中間に「あんこ」として「ソーラン節」をガワの「秋田船方節」に挟むからアンコ入り。都はるみのアンコ椿のあんこは「あねこ」でこれは異なります。

三橋美智也 ソーラン節

ソーラン節は鰊をあげるヤン衆が唄う作業唄がもとです。ヤン衆は東北などから北海道に出稼ぎにきた漁師たちのこと。ディズニーの小人が楽しそうにハイホーを歌いながら仕事をしますが、ソーラン節も元は作業の歌だったとはしらなんだ。

鰊場作業唄は、船漕ぎ、網起こし、沖上げ、子たたき、のニシン漁の4手順のそれぞれに異なる唄があり、4部構成です。ワーグナーの楽劇みたいだ。次の動画は4部構成で、6:12あたりからの「沖上げ音頭」がソーラン節の原型です。

【北海道江差町】江差沖揚げ音頭

以下卑猥なソーラン節の替え歌、これを皆で歌って笑って元気を出すわけです(笑)ヤーレンソーランにつづいて声に出して下記一行ずつ歌っていただきたい。

破れふんどし将棋の駒よ カクと思えば金が出る
へのこ 竹の子 竹の子 へのこ おがるたんびに 皮むける
姉コ木登り下から見れば 大工墨壷下げたよだ
おがちゃ小便すりゃ 鳩ポッポのぞく のぞく筈だよ 豆がある
下手の剣術マヌケの夜這い いつもシナイで叩かれる
あまりしたいのでお定さんとしたら 抜いたとたんにマラが無い
オソソの中にもお寺がござる 坊主来るたびトロロ飯
おやじへっぺしておらこしらえて おらがへっぺすりゃ意見する
(wikipedia ソーラン節より転記)

続いて廻船によって新潟に伝わった「出雲節」由来の新潟船方節。

新潟船方節

安来節

”咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る”

沢山の歌詞がありますが、上の一節が好みです。

安来節 出雲愛之助 島根県民謡【日本民謡 レコード】
yasugi-busi 安来節7
思うて通えば七曲りも一曲り。惚れて通えば千里も一里、と似てますね。
島根民謡 安来節 恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす

安来節の参考サイト http://furusato.sanin.jp/p/area/yasugi/16/01/

素唄

出雲鉄と安来節 田畑修一郎

次は出雲節です。

出雲節(出雲松江三津島 かつ子)80rpm2
目を瞑れば、出雲の湊の遊里にいる気分・・・。

酒田船方節

酒田船方節 川崎桂子

お前来るなら酒田においで
飽海田川は米の里
北と東は山また山で
羽黒月山鳥海山は
これぞ宝の山ぞかし
いまに黄金のトコホンマに花が咲く
雨風激しきこの節なれば
わたしの商売船乗りで
辛い船乗りやめましょか
とは言うものの酒田の港入りてあの子の顔見れば
辛い船乗り
一生末代孫子の代までやめさりょか

船乗りは辛くてやめたいと一旦思うのは秋田と共通、サゲのところは酒田船方節の「あの娘の顔みれば」のほうが、秋田船方節の「妻や子をみる」よりちょっとリアリティがあります。

最後に紀州の串本節です。

長々ごめんなさい。民謡聞きながら酒飲むと船方になってお座敷で歓迎されてる気分です。

串本節

ここは串本 向いは大島
仲を取りもつ 巡航船
アラ ヨイショ ヨイショ
ヨイショ ヨイショ ヨイショ(アラオッチャーヤーレ)

潮の岬に 灯台あれど
恋の闇路は 照らしゃせぬ

一つ二つと 橋杭立てて
心とどけよ 串本へ

わしのショラさん 岬の沖で
波にゆられて 鰹釣る

大島水谷 かかりし船は
お雪見たさの潮がかり

わたしゃ串本 両浜そだち
色の黒いは ごめんなあれ

障子あくれば 大島一目
なぜに佐吉は 松のかげ

日和や東風げじゃ 沖や白波じゃ
殿御やらりょか あの中へ

わしら若いときゃ 津荷まで通うた
津荷のドメキで夜が明けた

つつじ椿は み山を照らし
背美の子持ちは 浜照らす(子持ちのセミクジラのこと)

岬々は 七浦岬
汐岬は 荒滝じゃ

舟のともろに 鶯とめて
明日も大漁と 鳴かせたい

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