THE MOST IMPORTANT THING Howard Marks-4

ハワードマークスの投資哲学書、邦題「投資でいちばん大切な20の教え」読書、つづき。p143~

・非効率性を逆手にとることが、アウトパフォームし続けるための唯一の手段である。

なぜ人が投資で過ちを犯し、非効率的な市場が生じるかを、人の行為であり心理的な背景に翻弄されるからであるという。

その一つに「強欲」を上げる。強欲があると「わかっているのに」間違った方向に行く。

・強欲の力は極めて強大だ。常識、リスク回避、慎重さ、警戒感、論理、苦痛に満ちた過去の教訓の記憶、強い覚悟、恐怖心など、本来ならば投資家がトラブルに巻き込まれるのを阻止するであろう、すべての要素をねじ伏せてしまうほどである。そして、時として強欲のせいで、投資家は利益を求める群衆と運命をともにする衝動に駆られ、やがてその代償をしはらうはめになるのだ。

・チャーリー・マンガーは古代ギリシャの政治家デモステネスの名言を(ハワードマークスに)教えてくれた「自己欺瞞ほど安易な道はない。そうあってほしいと願うことを真実だと思い込めるのだから」。

デモステネス(紀元前384年頃 – 紀元前322年)アテナイの指導者としてギリシア諸ポリスの自立を訴えて反マケドニア運動を展開したが叶わず、自殺へと追い込まれた。その他のデモステネスの名言「沈黙は金、雄弁は銀」と言った人。

”そうあってほしいと願うことを真実だと思い込める(糞な)能力”笑。自己欺瞞。自分で自分の心を欺くこと。本心では間違っていると知りながら正当化する。

Bust of the Greek orator Demosthenes. Marble, Roman artwork, inspired from a bronze statue by Polyeuctos (ca. 280 BC). Found in Italy Sting, CC 表示-継承 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=295989による

次の一節は傑作。自発的な不信の一時停止(≒懐疑的にみることをやめる)がキーセンテンスとして出てくる。

・フィクションの世界では、「自発的な不信の一時停止」を行うことで楽しみが増す。「ピーターパン」の劇を見ているときに、(たとえそれが真実だったとしても)隣の観客が「ワイヤーがみえる」などというのは聞きたくないだろう。少年たちが飛べるはずはないとわかっていても、別に気にはならない。純粋に娯楽として見ているのだから。投資の世界は違う。

投資では「自発的な不信の一時停止」(ワイヤーが見えているのに見えないことにする)はあってはならないのだ。

なぜ投資家は都合の良い思い込み(≒自発的な不信の一時停止、懐疑をやめてしまうこと)に陥るのかについて述べている。

・経済学者ジョン・ケネス・ガルブレイスは「金融に関する記憶が持続する時間は短い」と言った。

silver bullet(絶対に確実な方法、特効薬)など無いにもかかわらず、なぜ信じるようになるのか。例えば一時的によく当てた人のまわりに信奉者があつまったりすることはよくある。以降、多数派、群衆、という言葉をネガティブワードとして展開している。

・投資家の過ちを引き起こす四番目の心理的要因は、たとえ明らかにおかしいところがあったとしても「多数派の見方に(逆らうよりも)同調する傾向」である。

・経済ジャーナリストのジョンカシディ「市場についてコンセンサスと異なる見方をするものの多くは、疎外感を覚え始める。やがて、コンセンサスに同意しないものこそがおかしいと感じる段階に達するのだ。」

同調圧力というのは字義のイメージとは逆で、外圧による内因性のものと気付かされた。

第六の心理的要因はうぬぼれであるという。相場が良いときに、短期でたまたまうまくいって、実力だとうぬぼれる。客観性と冷徹さを保つために行うべきこと。

・好材料が闇雲に高く評価され、悪材料が無視されているときにその輪に加わらない決断をすること。

・暴落で行き過ぎた恐怖が市場を取り巻くとき、投資家にとって重要なのは売らないこと、そして、できれば買うことだ。

相場が不合理に高すぎたり低すぎたりしたときの心構え

・①本質的価値を強く意識する ②価格が本質的価値から乖離した場合に取るべき行動にこだわる。 ③過去のサイクルに関する知識を深め、行き過ぎた相場が報われず、手痛い打撃を受けることを心得る。 ④市場が極端な状況にあるときの投資プロセスに於いて、心理的要因が密かに悪影響を及ぼすことを理解する ⑤「そんなうまい話はない」と思えるときはそのとおりである ⑥誤った水準にある相場がさらに誤った方向に動いているときは、自分が間違っているように見えることを受け入れる。 ⑦同じ考えの友人や同僚の支持を得る。

次の章は「逆張りをする」というタイトル。

逆張り投資家の言葉を並べる。

・ジョン・テンプルトン卿「周りが意気消沈して売ろうとしているときに買い、周りが高揚した気分で買おうとしているときに売るには最大限の勇気が必要だが、そうすることで最大限の利益が得られる」

・ウォーレン・バフェット「他人が慎重さを欠いているときほど、自分たちは慎重に事を運ばねばならない」

”群衆”に加わらないこと、”群衆”が過ちを犯すことを確信的に述べ、距離を置くことをすすめる。

・群衆が過ちを犯すという論理は明確であり、数学的であるとさえ言える。

・「ほとんどの人」が信じることに寄って到達した相場のピークや谷底では、ほとんどの人が間違っていることになる。

・したがって、投資を成功させるための鍵は反対の動きをする、つまり群衆から離れることにある。

・正しい反応とは逆張りで動くことだ。

逆張りというのは孤独で、居心地が悪く、意志が強くないとできない。常識に逆らうことだから。

・常識(この世で矛盾に満ちたものの一つ)にあらがい、「市場は常に効率的で正しい」という神話に逆らえるだけの強固な意志を持たなければならない。経験がなければそのような断固たる行動はとれない。

・デイビット・スウェンセン「型破りな(逆張りのことを指している)投資方針を確立し、維持するには、居心地の悪さを覚える奇抜なポートフォリオを受け入れなければならない。それは多くの場合、常識に照らし合わせれば、無分別としか言いようのないものである。」

・他のものが気づいていない、あるいは評価していない(そして価格に織り込まれていない)資産の値打ちに目を向ける。

・実際にその値打ちのあることがやがて判明する。

・並外れて洞察力に富み、機敏で、常識にとらわれない型破りな投資家でなければ、成功する投資の道に踏み入ることはできない、とわかるだろう。だからこそ、すぐれた投資家は多くの時間を孤独に過ごしているといわれるのだ。

筆者は2007-2008年の世界金融危機を例示し、暴落時の心理構造について次のように言う。

・危機のさなかでは、悪いことがたくさん起きそうに思える。だが、そう思えることと、それらが実際に起きることとは別である。人は危機時にその区別ができなくなるのだ。

・(「そんなうまい話はない」と懐疑するのと同様に)「そんなひどい話があるわけない」と懐疑的になる必要もある。

・私が知る投資の成功例には、はっきりとした共通点がある。多くの場合、挑戦的な逆張りで、居心地の悪さがつきまとう(経験豊かな逆張り投資家は、群衆とは異なるポジションを取ることにむしろ居心地の良さを感じるようだが)。例えば、債券市場が崩壊すると、ほとんどの人が「落下するナイフを掴むような真似をしない。危険すぎるから」という。(中略)何をすべきかわからないのである。

・居心地の悪さを伴わない利益率の高い投資というのは、大体が矛盾した話なのだ。

ハワードマークスは、落ちるナイフを掴むことが我々の仕事だと断言している。居心地の悪さがなくなったときに投資してもすでに遅い、と。

~p175

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