The Future for Investors Jeremy J. Siegel

読書、気に入ったところを抜書き。2005年の本なので多少内容が古い。当時の”グローバリゼーション”という言葉の浮ついているかんじだとか、インドや中国が発展するだとか、当時の気分がわかる一方で、現在に至って生じた弊害までは書かれていない。けれども、そういったグローバル企業に、著しい成長に目を奪われて投資しないほうがいいと書いてあることは慧眼としか言いようがない。ちょっとゾクゾクする。

バフェットとのスタンスの違いは、配当重視であること。

・運用期間を長くとれば、株式は債権に比べてリターンが高いだけでなく、インフレを調整すると、リスクも債権より低くなる。

・投資家はハイテク銘柄をはじめ、新興銘柄を過大評価し、これと言って話題性のない業界の銘柄を無視する傾向がある。そしてこうした話題性のない業界の銘柄はしばしば目覚ましいリターンをもたらす。

成長性が高いだけでは投資リターンは高くならない。これを筆者は”成長の罠”と呼ぶ。

・成長企業に投資することで、流れ込む先は発明者と創業者であり、開発資金をだしたベンチャーキャピタルであり、株式公開を仕切った投資銀行であり、最終的にはより良い商品をより安く手に入れた消費者だ。個人投資家は(中略 分前に預かるつもりで)実際には、損を引き受ける仕組みになっている。

・長期的に高い運用成績を達成した銘柄は、大抵の場合、配当を再投資したことがその最大の理由となっている。株式投資のリターンを左右するのは企業の増益率ではなく、実際の増益率が、投資家の期待を上回るかどうか、

成長がリターンに結びつかない理由の一つとして、時価総額はリターンと結びつかないという。配当のみがリターンに関連すると筆者は考えている。

S&P500の生き残った銘柄は、誰でも知っている消費者ブランドをもつ生活必需品メーカーと、誰でも知っている大手の製薬会社、知名度があり信頼度があり、長年に渡って同じ商品を作り続けている企業だった。必ずしも成長企業ではない。

・ベンジャミン・グレアム「業界の成長が間違いないからといって、投資家が手にする利益も間違いないとは限らない。」

・話題のセクターを追い求めるアプローチは、残念極まりないリターンしかもたらさないだろう。

・バブルはたいてい、誰も予想しなかったほど長く続くものだ(中略)バブルをバブルと見極めたら、まず脇に退いて、それに関わる企業や業界から手を引くことだ。(中略)買った銘柄に惚れ込んではいけない。

信者は他人の言うことに耳を貸さない。

・バブルで空売りは禁物。(中略)バブルがピークを迎えるのは、懐疑派がひとり残らずタオルを投げて、空売りのポジションを清算したときだと言われる。(中略)関わり合いにならないのが一番だ。

安易に空売りしても、それよりさらにバブルが続くかもしれない。

・(IPOについて、ベンジャミン・グレアム)「新規公開株の大半は『良好な市場環境』のもとで売り出される。つまり、売り手にとって良好なのであって、買い手にとってはさほど良好ではない」(賢明なる投資家)

IPOを全否定している。

・常軌を逸した集団妄想と群衆の狂気。市場が投機熱に浮かされるとき、投資家が騙されやすくなるその際限なさは、開いた口が塞がらないほどだ。

過去300年に起こった進歩はバブルが促進し、資本の後押しがあったからであるが、資本を投じた投資家にはそれほど利益がもたらされない。画期的であるからと言って投資で儲かるとは限らない。

・チャーリー・マンガー「技術にはそれが役立つときと、足を引っ張るときとがある。」

・ピーター・リンチ「投資先として私はいつも、景気のいい業界ではなく、惨めな業界を選ぶ。ほとんど成長しない惨めな業界では生き残りと窓際族がシェアを伸ばす。停滞した市場で着実にシェアを伸ばす企業は、活況に沸く市場でシェアを奪われ、防衛に追われる企業よりずっとマシだ」

私見を挟む。利益を配当せず、内部にためて、会社自体が有効に再投資して、企業価値を高め、結果として株価が上がるのであれば、極端にいえば配当ゼロであっても、株主としてはそれで良いと思ってきた。特に、創業オーナーが大株主であったり、株主還元を意識せざるを得ない条件であればそれで良いと考える。しかし、本書の著者はこういう。

・企業が資金を注ぎ込む成長オプションは、金を飲み込む底なし沼となるケースが多い。(中略)設備投資が高水準なグループの運用成績は、なるべく節約するグループを下回ってきた。

上記をデータを突きつけて説明する。

さらに、企業買収を余剰資金で行う会社も負のシナジー効果がもたらされることが多くすすめない。

バークシャー・ハサウェイは無配で、キャッシュを温存し、必要なときに企業を買い、自社株買いもする。株主であるウォーレン・バフェット自身が株主の立場で会社を経営しているが、筆者は必ずしもすべての企業が、こういう良い経営陣ではないという。

フリーキャッシュが潤沢になると自社ビルを立てたり特別給与を与えたり、無駄な設備投資をしたり、ガバナンスが甘くなる。キャッシュが余ると無駄遣いをするのが常なので基本的に性悪説で経営陣を信用していない立場。配当という形で確実に投資家に還元されるのであれば、企業は無駄遣いすることができないし、統治もしっかりする、という考え。

・経営陣がつねに、あくまで株主の利益のために行動すると言うなら、配当は重要ではない。

儲かっていると言いながら過去に消えていった詐欺的な企業は枚挙にいとまがない。

・経営陣が会社は黒字だというとき、株主は、誰はばかることなくこういっていい「Show me the money」

日本語訳だと”論より証拠”と訳されたりするが、文脈上「配当で見せてみろ」。

次の章で、配当は下落相場のプロテクター、上昇相場のアクセルであるという。下落局面で投資家を保護するという。まだ、自分では消化不良。やや概念的すぎる。

・ロバートアーノット「配当は、インフレの影響を小さくし、経済成長の影響を小さくし、株価変動の影響を小さくするだけでなく、インフレと経済成長と株価変動の影響を、一つにまとめて小さくする。」

・アラン・グリーンスパン「無駄に費やされる資本の額は、決算の数値が正確でないとき、投資家がそれを見て資産配分を決める以上、不必要に大きくなる」

・保有期間が短いとき、株式は明らかに、債権より高いリスクを伴う。だが保有期間が長くなると、リスクは債権を下回るようになる。(中略)この意外な結果をもたらした犯人はインフレ率の変動だ。(中略)一方の株式は実質的な資産の所有権だ。(中略)資産価格はインフレ率と連動して上昇する。株式はインフレの影響を完全に吸収すると見ていい。債権は性格上それができない。

・債権はインフレリスクへのヘッジにはならない。

筆者はグローバリゼーションを推進しなければならない、グローバル企業が投資先として魅力になる、と当時書いているが、現在のグローバリゼーションの様々な弊害を見て、今どう思っているだろう。

・ウォーレン・バフェット「人間には、かんたんなことを難しくしようとするひねくれた性質があるらしい」

ハンカチの木
北海道大学植物園のハンカチノキ

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