The Warren Buffett Way , 3rd Edition

読書メモ。本棚の古い本を読み直している。Robert G Hagstrome著 バフェットを研究している人の本。気に入ったところをメモ。良書

フィッシャーはバフェットの考え方に影響があった人の一人。経営者と膝を突き合わせるタイプ。反対にグレアムは数字だけを見る。バフェットはいいとこ取り。

・フィッシャーは①秀でた潜在能力を持つ会社に投資するか、②最高の経営者と付き合っていくかのどちらかだと考えるようになった。彼は、企業と経営者の特質を評価するシステムを作り上げた。

・フィッシャーが最も重要だと評価したのは、業界平均を上回るスピードで売上げと利益を長期間に渡って成長させることができるかどうかだった。

・フィッシャーは、事業内容についてあらゆることについての理解を望んだ。企業面接を重視。

・フィッシャーは理解できるものに絞り込んで投資。分散しない。

バフェットの考え。

効率よく再投資できないなら株主に還元を。企業のライフサイクルで、ある程度成長を遂げ、成長率が落ち着き、研究開発や製造のニーズを上回る資金が流入する段階で、余剰資金を企業がどう配分するかについて。必要なら企業が使って成長させること。良い投資ができないなら株主に還元すべきという。

・事業の利益率が資本コストよりも高ければ、企業は利益をすべて内部に留保し、事業に再投資すべきだ。資本コストよりも事業の利益率が低いなら内部留保に振り向けるのは全く合理的ではない。

・収益性は低いが余剰資金がある企業で株価が低いとなると、企業の乗っ取り屋の絶好の餌食となる。(中略 余剰資金で)他の企業を買収して成長を買う道を選ぶ経営者も多い。(中略)バフェットは成長するために買収をしなければならない企業に懐疑的である。(中略)バフェットは平均以上の利益率を上げる事業に余剰資金を投資できないなら、株主へ還元するのが合理的であり、かつ責任ある行動だ。

株主に失敗をも率直に話せる経営者かどうかを見分けることが重要と述べている。アニューアルレポートはいいことしか書かないことが多い。

・人の成功だけでなく失敗からその人を評価することを教えてくれたのはチャーリー・マンガーだとバフェットは語る。

次に組織の習性に縛られる経営者になっていないかを見極めること。まず、組織の習性とは。

・①組織が従来の路線を変えようとしない。②空き時間があると不要な仕事で埋めるのと同じように、余剰資金を使うためにプロジェクトや買収計画を作り出す。③リーダーが惚れ込んだ事業は馬鹿げたものであっても、部下や利益率や戦略を細かく分析してサポートする。④事業拡大、企業買収、役員報酬決定など、同業他社の行動を何でも無批判に模倣する。

・周りのみんながやっているというだけで、それが正しいとは限らないのだ。

経営者が陥りやすい三つ

・①多くの経営者はなにか行動したいという願いを抑えきれない。そのはけ口を企業買収ん見出すことが多い。②多くの経営者は寺社の売上高、利益、役員報酬を同業他社と常に比較している。比較していると、何かやりたくなるものだ。③多くの経営者は自分の能力を過信している。

経営者の評価を重視する点はフィッシャー流、しかし、経営者の評価は財務評価をするより難しい。

簡単にまとめると、経営者が投資家の目線を持っているかどうか、ということに尽きる。

次に、財務に関する原則。

借入金にたよらずROEが高い所がよい。(私的にROEがROAとそれほど乖離していないところ、でスクリーニングする。)

キャッシュフロー分析は万能ではないという。

・キャッシュフロー分析が役立つのは、初期投資が大きく、その後の追加支出が少ない企業の場合だ。(中略)一方、継続的に設備投資が必要な製造業では、キャッシュフローだけを見ても正しい価値を把握できない。

まず、マンガーも、バフェットもキャッシュフローベースのEBITDAを企業の収益力を見るために使うことに否定的。EBITDA=税引前利益+税金+減価償却費。つまり、減価償却前営業利益のこと。つまりキャッシュフローベースの真の利益がわかるものだが、EBITDAが示すものは営業キャッシュフローでしかなく、投資キャッシュフローを考慮していない。本当に大事なのはフリーキャッシュフロー(手残り現金)。EBITDAの値は設備投資やM&Aで大きくなるが、損失をマイナス要因として取り込めない点が欠点で、キャッシュフローの裏付けのないものに無理やり価値を付けるためにEBTDAを利用している場合がある。

次に述べるオーナー利益とは、フリーキャッシュフロー(営業CF-投資CF)の考え方と似ている。バフェットは、キャッシュフローよりも「オーナー利益」という考え方を好んで使う。

・「オーナー利益」とは、純利益と減価償却費から設備投資と予想される追加運転資金を差し引いたものだ。(中略)ただし、将来の設備投資額は推定するしかない。(中略)厳密に計算して間違うよりも、大まかにだが正しいほうがいい。

設備投資と予想される追加運転資金は、製造業ではとくに無視できないので推定して差し引くべき、と。フリーキャッシュフローとの違いはここ。

企業価値 = オーナー利益 / (30年米国債の金利)

企業価値の計算方法。債権の割引方法に似ている。企業価値の計算と現在の時価総額と比べて買うかどうかを決める。

・企業価値は、企業のライフサイクルで予想されるネットキャッシュフローを適切な利率で割り引いて算出される、と説明する。

・企業が将来生み出す利息に相当するオーナー利益を予想し、それを現在価値に割り戻すのだ。

私見だが、過去10年近くさかのぼってキャッシュフローが不安定であったのであればオーナー利益を予想することは難しい。収益を予想しやすいのは、安定した収入を計算できるストック型企業やブランドを持っている企業。バフェットは収益性が安定していない場合には評価しようとしない。予測可能な利益を安定して生み出している企業に投資を集中する。

企業の期待利回りをR(割引率)とすると、現在価値✕(1+R(割引率))=フリーキャッシュフロー(=みなし税引き後営業利益+減価償却費-純投資)

両辺を(1+R)で除すると、現在価値=FCF/1+R (一年後のFCFをもとに割引率から現在価値を出すことができる)

DCF法の各項はn年後のキャッシュフローの現在価値。n年後までの、FCFの現在価値を総和したもの。

DCF法によって、FCFが一定で生み出され、割引率もRのままだとすると企業が永続した場合の現在価値は、分子の第二項が0に収束するので、FCF/Rとかんたんに表せる。

FCFが永続的に毎年1000ずつ生み出され、割引率を年3%とした場合の現在価値は33333.333になる。

(同様な計算で、FCFが毎期に渡ってgずつ増える場合、N→∞ととると、計算式を略すが、FCFの現在価値の合計は、FCF/R-gで表すことができる。)

上記で計算できるのは事業価値。

事業価値・・・将来得られるキャッシュフローを現在の価値に換算したもの。事業譲渡の際の基準

企業価値・・・事業価値に非事業用資産を加算

株主価値・・・企業価値から有利子負債を控除した額。

非事業用資産・・・有休不動産、余剰現金

R(割引率)の設定は人によって様々。

バフェットは米国長期国債の利率である2-3%を使う。日本の商法514条では6%を使う。東証一部上場企業の配当利回りは平均1.8% 現在長期利回りはゼロ金利。

・「投資家が価値のあるものを買い、その結果、投資に対して本当に価値を得ることができているかどうかは、キャッシュフローを現在価値に割り引いた価値から考えて、最も割安なものを買っているかで判定すべきだ。企業が成長しているか、ボラティリティが高いか、あるいは利益の変動が大きいかどうか、PERやPBRがどうかなどは、全く関係がない。

バリュー投資もグロース投資も上記のように考えれば、本質的には同じであるという。

例)東証一部4290の決算を元に計算してみる。ゼロ金利だが数学的にゼロで割れないので、割引率3%で設定し計算してみる。フリーキャッシュフローが成長しないとする。(つねに成長してきたが)事業価値=フリーキャッシュフロー/割引率=3137百万円/0.03=104,567百万円、今日現在の時価総額101,788百万円(ただし総資産42,891 純資産29,901)、現在のフリーキャッシュフローが毎年生み出されるとするなら、純資産+事業価値≒130,000百万円

1/0.03=33.333≒33なので、FCF✕33として暗算できる。


行動ファイナンスについて(過剰反応のバイアス、損失回避の非対称性、近視眼的損失回避について)

・判断を誤る原因は自信過剰

・自分はデータを他人よりも明確に理解し、深い意味を読み取ったと確信する。さらにその自信過剰を過剰反応が増幅する。

悪いニュースに対しても同様に早合点してしまう。

・人は良い話に対しては反応が鈍く、悪い話に過剰反応する。過剰反応のバイアスという。

・セイラーは短期的な損益を重視しすぎることを投資家の「近視眼性」と呼び、月次報告書を受け取らないほうが投資家のためになると考えている。

・カーネマンとトベルスキーはプロスペクト理論という論文をかいた。(中略)人間の判断の中にある誤りを研究していて、人々は勝ち負けのウェイトづけが均等でないことを知っていた。(中略)人々は買ったときの喜びに比べて、同じ大きさの負けをしたほうが、2倍から2.5倍重く考えていることを数学的に証明した。(中略)勝率はイーブンだが、買ったときの報酬が負けた損失の2倍ないと、人々は乗ってこないわけである。(中略)これを損失回避の非対称性という。

博打がやめられない人をけなすとき、「買ったときのことしか覚えていないから」というが、プロスペクト理論に従うと逆で、「負けたときのことしか覚えていないから」なのか。

・良い判断をしたと思いたい。その思いがあるゆえに、間違った判断をしても、そのうち良くなるという淡い期待を抱いて、いつまでも失敗を認めたがらない。

近視眼的損失回避について

・頻繁に投資を評価するのでなければ、証券を保有する期間が長いほど、その資産の魅力は増していくと(セイラーとベナーツィーの)2人は考えた。

・過去の投資リターンを分析すると、長期的なリターンの大部分は取引期間のうち7%(中略)成績を評価する期間が短いほど、損失になっている状態を見ることが多くなるのだ。

・毎日評価することをやめれば(中略)変動を見ないですむ。投資家を苦しめる2つの要素は、損失回避と頻繁な評価なのである。この2つを合わせて、セイラーとベナーツィーは近視眼的損失回避と名付けた。

成績を評価する期間が短くなるほど、価格変動の大きな株式への興味が薄らぐ。「損失回避は避けられない現実だが、評価の頻度はどういう方針にするかの問題であり、原則として変更可能である。」

・自分の投資が正しかったと市場に確認して貰う必要などなく、だから毎日株価を見る必要はない。バフェットがよく言うように「価値についての自分の理解を、株価に教えて貰う必要はない。」のである。

・ベンジャミン・グレアム「殆どの場合、株価は上にもしたにも、不合理で過剰に変動する。多くの人々に、投機やギャンブルをしたいと思う傾向が染み付いているせいだろう。良いことを期待し、あるときは不安になり、また貪欲になってしまうのだ。」「市場が不合理な下落をしたときに、慌てて行動をしたり、必要以上に不安になったりする投資家は本来の利点を不利にしてしまっている。保有株式の価格は市場に出ないほうがうまくいくだろう。他人の判断ミスの結果で悩まされることがなくなるからだ。

・行動ファイナンスという名前が出るよりはるか昔に、それを理解していたのは、ウォーレン・バフェットやチャーリー・マンガーのような極小数の背教者だけだった。(中略)「社会人になって、極端に不合理な考え方に基づき、予想した通りのパターンをたどる人間の集団を目にした」とマンガーは言った。

・認識は心の作業であり、他の作業と同様に難しくなると、私達は怠けようとすることを、カーネマンは思い出させてくれた。知性のある人が、一つ答えを見つけると、それで満足してしまい、それ以上考えることをやめてしまうことに、カーネマンは驚きの声を上げる。

佐倉城にいたニャンコ

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