SASHIMI ほや 君は何者なんだ?→動物です!キリッ!

海寄りの人間なので、海産物は何でも食べる。だが三陸のホヤはまだ食べたことがなかった。私の生まれの広島には流通しない。

魚屋の魚力(千葉店)に寄るとたっぷり盛られたホヤの刺し身があり、「旬」とラベルしてある。魚屋ではオススメに従う。魚屋には性善説が適用できる。魚屋ほど信用に依拠している商売は無いからだ。「昨日のお刺身が美味しかったからまた来たよ」で成り立つ。客の側から積極的に信用してこそ客も良いものにありつける。

ホヤにも旬があり、5-9月。切り身の断面がパスタの断面のようで鮮度が良い様子、迷わず買う。まず、その匂い。好きか嫌いかで世界を分断しかねないほど強烈である。福岡でよく食べたタイラギ貝のひもの磯臭さに似ている。牡蠣の匂いにも少し似ている。なまこの腸、コノワタの匂いにも似る。酒に合いそうな磯の匂い。ホヤの通にいわせると、この匂いに惹かれるのだと。

この匂いにはゆずポンが合うと直感、セリやミョウガ、小ねぎなど匂いの強いものと合わせても良さそう。少し気にはなる匂いにかまわず頬張る。その歯ごたえ、貝のようにシャキシャキ感があって先ずはうまい。この匂いは、口悪しくいうなら「回転させた後のマブチモーターに鼻を近づけたときのような、メタリックな匂い」だ、、わかんないですか、ああそうですか・・。喉を通るときに前記の匂いがのどにまとわり付いて、甘草をなめたあとのような痺れたような感じがしばらくのどに残る。

ホヤ君、きみはいったい誰なんだぜ?!

ホヤの仲間
ホヤの赤ちゃん ナショジオより引用https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/magazine/1011/wallpaper/index.shtml

ホヤは、脊椎動物と無脊椎動物をつなぐハザマにいる。脊索動物の脊椎を持たないタイプである原索動物に属する。脊椎動物の祖先の形であるとか、生きるカンブリア紀の原索動物の姿、とも。分類上は”動物”、動かないのに?

実際、卵から幼生のときはオタマジャクシのように泳ぐのだ。目玉に相当するものも有る。生まれたばかりのホヤは魚の形で驚いた。

ホヤ動画

ホヤの赤ちゃん(上記写真)はクラゲのようなゼリー感があるが、「脊索」動物なのでクラゲよりは人に近い。


食用の「ホヤ」は幼生期を浮遊生活で過ごし、おとなになると岩や船底に付着(口で岩に噛み付く感じで固定する)、豪快に変形してホヤの形になる(ご興味があれば下段にお示しした動画を御覧ください)。取水管より入ってくるプランクトンを濾して餌とする。

ホヤの仲間のうち、岩底に固定したのが「ホヤ」。浮遊し筋肉を使って泳ぐホヤの仲間が別にいて一生浮遊生活を送るホヤを「サルパ」と言う。前者がマイホームサラリーマンで、後者が浮き草稼業の根無し草人生、ホヤの生き様は色々で、人生に対する考え方がそれぞれ違うのだろう。浮遊性ホヤ「サルパ」はカエルの卵みたいに連鎖して海を泳ぎながらプランクトンを摂取する。

脊索とは。受精卵から発生する初段階で中胚葉から脊索ができ、脊索から脊椎に変化するのが我々脊椎動物。骨になる前の状態でとどまって生きているのが原索動物のホヤである。ヒトの発生というのは、系統進化を繰り返している、その途中にホヤとにてるところがあるなんてチョット嫌だ・・・

Salp.jpg
Lars Plougmann from London, United Kingdom – Salp, influencers on the planet’s climate wikipediaより

ホヤの味に関するPDFを見つけたので要約します。

ホヤは動物に属しながら、あの赤い皮は「植物性」である。また、ホヤの味を構成するエキス成分は、脊椎動物(魚)と無脊椎動物(イカ・タコ)の中間的な組成である。

イノシンは旨味のもとで、核酸が分解されてできる。肉魚を少し寝かせると旨味が出るのはその分解を待っている。魚類ではアデノシン三リン酸ATPはADP、AMP、IMPを経てイノシン、ヒポキサンチンに分解される。イカタコや帆立ではアデノシン三リン酸ATPはAMPからアデノシンを経由してイノシンに変化し代謝経路が異なる。つまり魚類ではIMPが検出されるが、無脊椎動物ではIMPが全く検出されない(ただしエビ・カニでは検出される)。マボヤではIMPは検出されないので核酸代謝は無脊椎動物タイプに含まれる。

筋肉へのリン酸(ざっくりいうとエネルギー)供給源は脊椎動物ではクレアチンリン酸で、無脊椎動物ではアルギニンリン酸。マボヤにアルギニンが少ないということはクレアチンを利用している脊椎動物っぽい、なのだが、マボヤではアルギニンもクレアチンも低含量で「岩に張り付いて運動不足なので、エネルギーを必要としないから」かも、と。

いつも読んでいただきありがとうございます。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu1962/27/2/27_2_96/_pdf/-char/ja
「マボヤの発生生物学」東京シネマ新社製作
海からのおいしい贈り物 (9)ホヤ・生命進化の交差点-三陸海岸・宮城県-
【高校生物】 動物の発生14 中胚葉誘導(16分)

コメント

  1. CHIRICO より:

    ホヤ、ですか。
    ナマコ、イソギンチャクは食べたことあるけど、ホヤはないかも。
    どこかで食べた海鮮丼とかにこっそり紛れているなんてのはあったりするのかな。
    ホヤもおいしそうだけど、ホヤに生まれたくはないですね。

  2. yopioid より:

    おはようございます。
    大変強い匂いがするホヤをこっそり忍ばせるということは、
    恥ずかしくてパンツが脱げない透明人間のようにすぐバレると思います。
    生物進化の系統樹を我々のご先祖様が出来心で踏み外していたら、ホヤだったのかもしれないと思うと、
    今日も与えられた生を全うし、仕事を頑張ろうという気になります(ほんとか?)。

  3. CHIRICO より:

    ホヤはそんなに匂いましたか。
    なかなかエロい奴ですね。
    「私はホヤになりたい」と呟かなくて良いよう、日々頑張っていかねばですね(笑)

  4. yopioid より:

    エロいを通り越して、痴女にあって不安になるほどの匂いです。会ったこと無いけど。
    ぼやぼやせず、そろそろ仕事しましょう!w

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