夏木マリ

何から着衣するか。大した理由はないが大概パンツから、または手の届く範囲のものから。その日は靴下が近くにあったから、黒い靴下を先に履いた。素っ裸に黒い靴下という姿は若干ヘンタイっぽい。。。

そこで、ふと意識に上った。

「まるで、夏木マリみたいだな・・・」

夏木マリのことをどれだけ知っているかと問われれば殆ど知らない。そのわりに、ほとんど確信に近かった。

一週間あと、その事を思い出し、なぜ夏木マリなのかを調べるうち、「夏木マリ 絹の靴下」(1973年)という大変セクシーな曲をみつけ、呆然とする。聴いた覚えすらないのだ。

私が幼稚園に上る前の曲、その頃、口ずさんではいけない曲があった。「いしだあゆみのブルーライトヨコハマ」を近所でアカペラ熱唱し、親に酷く叱られた。みんなのうたの「オイラは藪っ蚊、吸血鬼」なら良くて、いしだあゆみがいけない理由などわかるはずもなく、不貞腐れながら不条理だと思った。いしだあゆみは聴いても良いが歌ってはいけない曲だった。

今はじめて「夏木マリ、絹の靴下」を聴いてみると「裸の私に火をつけて」という歌詞が、艶のある声で歌い上げられ、売らんかなの尾篭な過激さであるとはいえ、今の私にもヒシヒシとくるほどだから、お母さんフィルターにかかっていたはずだ。戒厳令下、思想統制のもと、検閲から漏れた「夏木マリ 絹の靴下」の歌声を、まるで人垣の後ろから、聴いてはいけない曲に耳を澄ますように、おぼろげに実体を感覚していたのかもしれない。

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