干物は太陽がつくるのか

「文化干し」のサバを初めて食べて美味しかったのですが、文化干しは天日干しではない。すなわち「文化干し」は冷風乾燥機で人工的に干したものです。太陽を使わない、それも干物?

文化干しは冷風乾燥した干物の意味

築地の「東京仙印商店」が魚の干物をセロファンで巻いて売ったのが文化干しの始まり。現在「文化干し」の指すものは冷風乾燥した干物、天日干しのほぼ対義になります。灰干し製法は冷風乾燥ではなく、火山灰に埋めて水分を抜きますが、これも日陰の製法で天日干しではありません。天日干しではない干物は干物と言ってよいのか。というのも私は太陽になにか特別な恩恵があると信じているからです。

太陽が干物を作るのかどうか

私の好きな呼子の風景が目に浮かびます。太陽に照らされてイカの干物やアジのみりん干しが並べられている。太陽あってこそ干物を化学変化させ美味しく作るのだと頑なに信じておりました。

干物以外にも、お日様を浴びるとよく眠れ、日光で活性化されるビタミンで骨も丈夫になります(黒人が極北に転居すると骨の病気になる場合がある)。太陽のおかげで稲や作物も育ちますし、洗濯物も乾く。松崎しげるもキヨハラも色が黒くなる。

特別な宗教ではなく日本人として根本的なところでお日様ありがとうございますの気持ちを持っています。太陽信仰というより太陽のファンです。

干物の定義 どんな方法でも水が抜ければ干物

冷風乾燥機マシンによる「文化干し」は干物なのか。天日干し原理主義者の立場が揺らぐほど冷風乾燥干物は美味しい。「太陽でうまくなる」は迷信なのか・・・。洗濯物だって生乾きだと雑巾の匂いがするし。。

伊勢外宮で御饌をおさめたところ、神饌に使ったスルメイカと昆布とお米とお塩とお神酒を頂きました。干物が多いです。これもきっと古式に則り天日干しであるに違いない、まさか古代に扇風機はないから文化干しではないと思います(願望ですが)。ところで今、伊勢神宮外宮のスルメを齧りながら書いています。

さて一旦ニュートラルになって、干物の定義とは?

魚介類の水分を乾燥によって減らすことで貯蔵可能なように加工した食品である。干物の乾燥方法は天日乾燥と人工乾燥とに大別される。天日乾燥は「天日干し」とも呼ばれている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B2%E7%89%A9

どんな方法でも水が抜ければ干物なのです。熱と風と乾燥があれば干物はできる。日陰の低温でも強風を当てれば乾燥する。乾燥剤の中に放り込んでも干物はできる(灰干し)。天日干しは干物の一つの製法とと捉えるのが良いようです。化学分析をしたものもありますが違いがあり、味も違うようです。こうなると味の好みの問題です。

雑巾をゆっくり乾かすと臭くなる

干物は生から乾燥していく過程です。その途中を二大別して考えると、まだ細菌や酵素が分解を進め旨味を作り出せる適度な水分のある時期がまずあってここで味やニオイが作られる(熟成期間)、更に乾燥が進み水分が減じて細菌や酵素の活性が抑えられ保存に適した水分含有量に至ると考えられます。強い天日干しだと熟成期間が短すぎる可能性があります。逆に陰干しだと太陽の紫外線による殺菌作用は無いでしょう。

工業的に干物をつくれば、不確定性のある天日干しより、一定時間冷風を送るだけでいいから供給は安定するでしょう。呼子のゴマのかかったみりん干しで干物に覚醒した私はそれでもなお天日干しのファンです。

雑巾がゆっくり乾かされると「干物の熟成期間」に相当する期間が伸びるために臭くなるのだと考えられます。

干という字が物干し竿に見える

干物と太陽が頭で結びつく理由を考えていたら「干」という字が物干し竿に見えてきました。竿(さお)という字にも入ってますし。

干すことで椎茸もスルメも昆布も鰹節も味が良くなリます。人も仕事を干されることによって心の余裕ができて人間的に豊かな味わいが出はじめます。人が干されると「日陰者(ひかげもの)」と呼ばれ、食通の間で珍重されるようです。

お読みいただきありがとうございます。最後の動画は灰干しの作り方です。

築地東仙 (東京仙印商店)

コメント

  1. CHIRICO より:

    まだ日陰者を食したことはありませんが、しっかり熟成期間を経てカラっカラに乾いたおばあちゃんなどは、とても珍妙な味わいを醸し出していますね、納得です(笑)

  2. yopioid より:

    ご高齢の方の会話の引き出しはケーススタディの蓄積なので、若者には到底及ばない豊かさがありますね。
    ボケたかなと思っていても、当意即妙の返事をされたりします。例えば私がお酒をのんでいると
    おばあちゃんが「まあ!腕を上げましたね」みたいに。干物侮るべからずです。

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