燃料油の需要低下によって連産品生産が低下しベンゼン価格は上がる 富士石油のつづき

富士石油の四季報に「市況高でベンゼンなど化成品復調。」とある。

ベンゼン価格推移

グラフで見る! ベンゼンの価格(輸出用)の推移 月次・円ベース
このページでは、日本銀行 企業物価指数のデータに基づいて、ベンゼンの価格(輸出用)の推移についてGD Freakがグラフを作成し、その内容を説明しています。

日経新聞によると、

原料となる原油が需要回復期待から値上がりしたほか、ベンゼンから作る合成樹脂などの需要が伸びていることが要因だ。米国では燃料油の需要不振で製油所の稼働率が低迷。ベンゼンの生産が減っている。米国内のスポット価格が上昇し、アジアから米国への輸出が増加、アジア市場の需給緩和感が薄らいできた。アジア向け価格上昇を受け、国内の想定価格は1キログラム71.1円と前月比6.2円(9.6%)高い。上昇は3カ月連続で、20年3月以来の高値。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODJ059O70V00C21A1000000/

つまり、ベンゼン価格高騰の背景として、ベンゼン需要の上昇のみならず、もう一つ大事なのが、「燃料油の需要低下による連産品生産の低下」によって連産品のひとつであるベンゼンが少なくなり価格が上がっている、ということ。

石油精製業の市場構造に関する調査報告で勉強してみる。資源エネルギー庁。

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/pdf/008_02_02.pdf

原油を生成する時に連産品の一つとしてベンゼンが出来る。ベンゼンだけを作るのではなく、一定の比率で各種成分が連産される。つまり燃料油の生産量が多ければベンゼンも多く作られる。燃料油の需要が減ればベンゼンの生産量が下がり、価格が高くなる。面白いな・・・。

(例えばお肉を解体するときにヒレ肉を取ろうとすると、一定割合でバラ肉もできるしもも肉も出来る。)

収益構造で「精製マージンの改善」が重要。「精製マージン」は石油製品の「卸売価格」から、原油調達価格を含む石油製品の「生産コスト」を除いたもの。

我が国の製油所群は国際的に比較して輸送用燃料生産コストが高い。

「複雑性」・・・≒高機能。常圧蒸留装置、残油処理、ユリカ装置など回収力を高める装置が日本の製油所にはある。複雑性が高いゆえに日本の製油所は定期点検修繕などでの国際比較で稼働率は低い。

以上前置き。

副産物である高付加価値な石油化学製品や潤滑油等からの収益は、輸送用燃料生産コストに影響を与え、石油精製業の収益を左右する。輸送用燃料生産と副産物が互いに価格に影響を与えるのだな。。

高付加価値石油化学製品生産に関しては日本は生産能力が高い。

過剰精製能力。石油需要が落ち込む傾向。

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/sekiyu_shijo/pdf/007_02_00.pdf

需要に対して過剰な精製能力を有したまま高い稼働率で廉価販売した石油精製業者の存在が過去にあったため連産品価格がさがったことがある。我が国の石油需要は、全体量の減少とともに、「白油化」(ガソリン等の構成比が拡大する一方で重油(黒油)の構成比が縮小すること)が進んでいる。

需要の変化に対して可変的に対応できない業態の特性がある。石油精製業は装置産業であり、また、生み出される製品は「連産品」という特質を持ち、ある特定の製品のみを生産することが困難であるという特性を有している。具体的には、原油処理装置(一次処理)による蒸留反応によって分留されるガソリン・軽油・灯油・重油等の割合は決まっており、残油処理装置(二次装置)の増強や運転の工夫によって得率に変化をつけることは可能であるが限界がある。このため、例えば、稼働率を落とす、ガソリンとその他の石油製品の生産比率を変更する、といった需要の変化に応じた生産調整はある程度は可能ではあるが限界があり、「需要の変化に応じて可変的に対応」することが構造上困難な業態であると考えられる。

ターム取引とスポット取引(スポット価格)・・・長期購入契約をターム取引、荷渡1回ごとに短期契約するのがスポット取引(当用買い)OPECが決めるGSPという価格でターム取引されていたが、現在はスポット価格が優位となり、OPEC各国もスポット価格に連動して値決めしている。

スポット価格は投機的にも動くので実際のコストが適正に反映されない。つまり現物の需給への感応度が低い。

(参考)

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shigen_nenryo/sekiyu_gas/sekiyu_shijo/pdf/007_02_00.pdf

資源エネルギー庁HP 原油価格低迷により石油業界の利益は減っている。

第3節 国内外の石油産業の動向 │ 資源エネルギー庁
資源エネルギー庁のホームページです。平成28年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2017)HTML版。

原油価格低迷の影響を受けているのは、中東をはじめとする産油国の国営石油企業においてももちろん例外ではありません。国家の財政収入の大半を石油収入に依存している産油国においては、原油・天然ガス価格の下落は国家財政を直撃しており、国民に対して補助金の撤廃や国内投資の削減等の緊縮策を打ち出しています。また、こういった政策に加え、石油産業からの収入確保に向け、国営石油企業の改革、政府保有株の放出、外国石油企業に対する新規ライセンス付与等の施策が表明されているところです。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/1-3-3.html

原油価格低迷によりサウジが発出したのがビジョン2030、その一つがサウジ・アラムコの上場案。ロシアも外貨獲得のために油田を切り売り。

最後にスポット原油価格でよくでてくるドバイ原油価格について。別名プラッツドバイ原油価格と言ったり。プラッツは社名。プラッツ社の「プラッツウインドウ」というコンピューターを介した業者間相対取引で行われ、その市場価格をもとにプラッツ社が発表するのがドバイ原油価格。

じゃあなぜドバイ?中東産の原油は転売制限(仕向地条項 仕向地:荷揚げ場所)があるがドバイ原油には仕向地制限がなく、全量がスポット取引されているため、指標として定着した。

仕向地条項については、独禁法違反として契約に入れない方向になりつつある。

液化天然ガスの取引実態に関する調査報告書

また、脱線してしまいました。長々ごめんなさい。m(_ _;)m

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