日本海事新聞の見出しから 2024/11/01-11/30

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商船三井、通期経常3650億円。上方修正、自社株買い1000億円
日本郵船、中期目標へ好発進。プログレスリポート2024、脱炭素戦略
ONE7―9月期、税引き後利益10.7倍。通期は30.9億ドルに上方修正
NSU海運、通期経常益193億円。下方修正、ドライ市況調整
飯野海運4―9月期、外航17%増益81億円。ケミカル市況好調
マースク7―9月期、EBITDA2.6倍。運賃市況上昇

【進水】尾道造船、ツインデッカー「PRIMA VERDE」
KiPiOの散歩道 船★貨物船 PRIMA VERDE

二層甲板ツインデッカーは鋼材や木材といった積み上げが難しい製品を、船内を二階建てにすることで上部のスペースも有効活用できるようにしたもの。

下図は1626年スウェーデン、グスタフ・アドルフが作った戦艦ヴァーサの断面図。砲甲板が二層ある。重心が高く、処女航海で沈没した。多層甲板は重心が高くなるリスクがある。

タイミー調査、雇用形態名が4割超。スポットワーカーの呼称、「匿名性」に安心感

スポットバイトの呼称「タイミーさん」や「派遣さん」らしい。https://corp.timee.co.jp/news/detail-3779/

11/5

日本通運、「北海道バレー」多角化挑む。ラピダス向け、導体倉庫が稼働

北海道バレー構想とは。シリコンバレーのモジリ。ラピダス半導体工場ができる、その周辺に関連企業や研究機関、大学が集まる地域、北海道バレーを目指している。サプライチェーンの集積化でのメリットなど。下図、北海道HPより。

それぞれに「バレー」構想があるのだろうか。

広島の東広島にはマイクロン、ディスコ、広島大学がある。東広島市はバレー(谷地形)ではなく、賀茂台地の上になる。その時はプラトーというのだろうか。https://www.chugoku.meti.go.jp/seisaku/tiiki/handoutaikanrensangyou/shusekimap.pdf

三菱重工マリンマシナリ、換装プロペラ受注累計250基を達成。GHG削減
三菱重工マリンマシナリ株式会社 | レトロフィットプロペラ累計250基達成- 拡大するGHG削減の関心 -
三菱重工マリンマシナリ株式会社

要するに低燃費なプロペラへの交換によってGHG温室効果ガス軽減につながる。

ナカシマプロペラ https://www.youtube.com/watch?v=l2s-1NsS0tc

PBCF https://www.youtube.com/watch?v=HS4r4bu2WII

11/8

ADIPEC、海運・物流首脳ら議論。業界のディスラプション共有

業界の「ディスラプション(革新的イノベーション)」について共有。紅海危機などによる輸送ルートの見直し、デジタルディスラプション(デジタルによる破壊)や気候問題などが挙がる中、DCCMIのカミス氏はグローバルサウス(新興・途上国)への移行について言及した。世界的な北から南へのシフトは、輸送とエネルギーという二つの主要な分野を中心に進行していくという。

ディスラプションとは?そもそもは破裂や崩壊という意味。「乱す(disrupt)」。技術革新で既存のものが破壊され新しいものに置き換わる。AI・IoT・ビッグデータをはじめとするデジタルテクノロジーによって新しいビジネスが創出され、古いビジネスが破壊的な影響を受けること。

11/12

五洋建設、大型HLV建造へ。洋上風発向け船隊拡充

五洋建設株式会社(社長 清水琢三)は、全旋回式5,000t吊クレーンを搭載した大型基礎施工船(Heavy Lift Vessel、以下、HLV)の建造に関するLOI(基本合意書)を、シンガポールのSeatrium子会社と締結しました。
風車の大型化に伴いモノパイル基礎の重量が増大しており、 その設置にはHLVが不可欠です。
建造契約は2024年度4Qを予定しています。https://www.penta-ocean.co.jp/news/2024/241111.html

大和工業、兵機海運株を追加取得

兵機海運株式会社(証券コード:9362)に対する堂島汽船株式会社の株式公開買付け(TOB)は、2024年10月18日から12月5日まで実施され、応募状況を踏まえ12月5日まで延長されました。堂島汽船は、親会社である富洋海運と合わせて兵機海運株の所有割合を20%未満に引き上げ、資本業務提携に向けた影響力を強化することを目的としていました。しかし、兵機海運の取締役会は11月15日にこのTOBに反対の意見を表明し、敵対的買収の様相を呈しました。最終的に、TOBの応募株数は目標に届かず、堂島汽船の兵機海運に対する保有割合は6.29%。

2024年10月31日には、大和工業グループと兵機海運が資本・業務提携に関する協議を開始することを発表しています。この協議は、国内海上物流の動向や人材・設備の効率的活用を見据え、両社の協業関係を深めることを目的としています。大和工業株式会社(以下、大和工業)は、兵機海運株式会社(以下、兵機海運)との協業関係を強化するため、兵機海運の株式を追加取得する方針を示しています。2024年11月11日、大和工業は兵機海運との資本提携および業務提携を加速させる目的で、市場から兵機海運の株式を追加取得することを決定しました。

兵機海運・大和工業(防衛側) vs 堂島汽船・富洋海運(買収側)

その後も富洋・堂島汽船は兵機海運株の保有割合をTOB終了後も徐々にあげている。

2025/01/07 08:43 兵機海<9362.T>の株式について、堂島汽船と共同保有者による保有割合が上昇したことが判明した。堂島汽船が6日引け後に提出した大量保有変更報告書によると、共同保有者との保有割合が前回提出時の8.39%から11.81%に上昇した。保有目的は、発行者との業務上の連携を推進するための発言力を強化することとしている。6日終値は、前営業日比70円高の3800円。

11/14

年末年始荷役、24年度は実施せず。日本港湾の地位低下懸念

港湾春闘で組合側が「労働環境整備のため年末年始不稼働」を主張。日港協が全国港湾労働組合連合会(全国港湾)・全日本港湾運輸労働組合同盟(港運同盟)と交渉、組合側は「ユーザーに選ばれる港湾よりも、仕事を求める労働者に選んでもらえる港湾」を主張。。。。労使合意による日本港湾の安定化と24時間364日フルオープンが実現し、特に年末年始荷役はその象徴的な存在としてこれまで続いてきた。今回の不実施で日本港湾が掲げてきた364日フルオープンが大きな転換点を迎える。

【4―9月期】三井E&S、営業益39%増92億円。舶用エンジン好調

三井E&S(7003)が11月12日に発表した2024年4~9月期の連結決算は、純利益が前年同期比8.1倍の322億円だった。物流システム部門でコンテナクレーンの生産が順調に推移したほか、工事採算が改善したことが寄与した。舶用エンジンの引き渡しも好調に推移。持分法適用関連会社であった三井海洋開発(6269)の浮体式生産設備(FPSO)の建造工事が順調に進捗し、持ち分法投資利益の増加につながった。

【4―9月期】栗林商船、経常益88%増16億円。Mシフト進展

物流の「2024年問題」を背景とする海上モーダルシフトの動きに伴い、商品車両や雑貨の輸送量が好調に推移。

栗林商船はRORO船のパイオニア

1969(昭和44)年には、わが国初のRORO船(ロールオン・ロールオフ船)を建造。これによって、それまでの船舶ではできなかった雨天荷役が可能となり、その後巻取紙の輸送を俵積みから縦積みに変えることで輸送品質は格段に向上しました。その後もお客様のニーズに合わせて、低コスト、省エネルギーのRORO船を建造してきました。RORO船を運航する内航定期船事業では、多様な航路網や配船頻度など、他社にはない独自の海上輸送ネットワークを構築しています。

その他にも不定期船あり。

沿革(初期のみ)、1894年室蘭で「室蘭運輸合名会社」を創業。1909年、「栗林合名会社」に名称変更、1919年船舶部門が「栗林商船」となる。室蘭と本州を結ぶ定期航路開設。1923年北樺太航路、1924年ロシア航路、1927年塩釜釧路航路、1969年我が国初のRORO船「神珠丸」建造。

栗林商船のファンネルマーク

南北朝に遡る。肥後菊池武光の後裔であった栗林家は南朝に味方、敗れて越後三条に逃れ、武士を捨てて呉服商人となる。以後「七郎治」と名乗る。八代目栗林五朔は新天地を求めて室蘭で事業を興し、屋号を「丸七」にした。

晩年の栗林五朔

栗林 五朔(くりばやし ごさく)は戦前日本の実業家、政治家。新潟県三条市出身。北海道室蘭市で物流事業を起こし、栗林商会、栗林商船等を創立。「北の海に栗林あり」「海運王」と呼ばれた。登別温泉軌道を経営する一方、北海道会議員、衆議院議員を歴任し、室蘭港及び登別温泉の開発に尽力した。晩年の号は蕙堂。登別温泉発展への功績をしのび、頭山満翁揮毫の瀧本金蔵・栗林五朔頌徳碑が現地にある。

菊池武光像 Musuketeer.3 – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27263124による

武光は菊池氏第15代当主。征西将軍懐良親王を奉じて筑後川の戦いに勝利し、太宰府を手中に収めて九州南朝方の最盛期を築き上げた名将。

全国各地で南朝方が劣勢に立たされる中、九州で圧倒的優位を誇る南朝方の菊池・懐良親王軍は東征を決断、菊池氏・原田氏・伊東氏・秋月氏・島津氏・三原氏・草野氏・松浦氏・星野氏・平戸氏・千葉氏・大村氏・山鹿氏などの九州の有力諸氏を従えた7万騎の大軍。しかし北朝方に転じていた周防大内氏により下関付近で進軍を阻まれ撤退、大宰府へ敗走。この東征失敗以降、征西府は徐々に衰退していく。今川貞世率いる九州探題軍(北軍)が九州上陸、高良山の戦いで武光は死去した。

検索結果|無料で読める偉人マンガ|B&G財団
教科書では学べない「郷土ゆかりの偉人」のマンガを地域の皆さんの協働で製作し、ふるさとへの興味関心の向上(郷土教育)、将来の生き方や生活を考えるきっかけ(キャリア教育)につなげることを目的としています。

無料で読める菊池武光の偉人伝↑統一まで。

物流博物館、コレクターの収蔵品をパネル化。鉄道古写真展、来年1月26日まで

いかねば・・・

11/18

日本通運、カンパニー制導入。3エリア、事業ユニットは再編

日本通運は現在の地域ブロック性を廃止し、社内カンパニー制を導入。北海道・東北エリアにEastカンパニー、中国・四国・九州エリアにWestカンパニーを設置。関東甲信越・中部・関西では顧客との取引領域拡大のため、事業軸・顧客軸のビジネスユニットとして再編。

カンパニー制とは、多角経営の大企業に広く普及した社内分社制の一種。企業内に存在する組織を、各事業分野を独立した会社のように扱い大幅な権限委譲を行うとともに、責任の所在を明確化することで、収益力の強化や事業の効率化を目指す経営システムのこと

カンパニー制のメリットとしては、

意思決定のスピードが早くなる
各事業部門の責任が明確になる
柔軟性の高い組織づくりが可能になる
多様な競争力を開発できる
次世代リーダーの育成を促進できる

一方、デメリットとしては、

会社全体として共有すべき経営資源が分散する
部門重複によるコストの増加
全社での連携が取りづらくなる

11/19

三井E&SDU、商用世界初納入。新型エンジン、SCR組み込み型

株式会社三井E&S DUは、世界初のiSCR(integrated Selective Catalytic Reduction)装置を搭載した新型エンジン5X52-S2.0型ディーゼルエンジン1基を国内造船所に納入。 iSCRは、国際海事機関(IMO)のNOx(窒素酸化物)排出規制に対応するため、ライセンサであるWinGD社が新たにリリースしたもので、排気溜り下の空きスペースにSCRを設置することにより、エンジンルーム内のスペースを効果的に抑えることができます。また、スペース節約効果により、造船所の艤装作業をより迅速かつ効率的に行うことで、船舶建造工程の短縮と艤装コスト削減が期待されます。iSCRは熱損失が少ないことから、従来型のSCR装置に比べて触媒の数を少なくすることができる。

SCR(Selective Catalytic Reduction)は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を削減する排気ガス浄化技術で、アンモニア(NH3)と反応させて窒素(N2)と水(H2O)に還元するもの。https://youtu.be/To_YQMsCLD4?si=6I5vEMs6P-uODi6W

11/20

ワレニウス、新BAF導入。1月から、複数燃料に対応

Wallenius Wilhelmsen(WW)は2025年1月1日から、複数の船舶燃料に対応した新BAF(燃料割増料金)として“BAF2.0”を導入する。同社が11月18日に発表した。従来の低硫黄燃料油のVLSFOやMGO(マリンガスオイル)ベースのBAFスキームを段階的に廃止し、バイオ燃料、LNG(液化天然ガス)、メタノール、アンモニアなどを含む複数の新燃料をBAF2.0に統合するもの。EUでは船舶燃料の脱炭素化促進を目的に、25年1月から船舶燃料規制“FuelEU Maritime”の適用が始まる。WWは「2040年までのネットゼロをを達成するには、代替燃料のコストを明確化することが不可欠で、BAF2.0はそれを実現するもの」としている。

11/25

NK、ドローン資格者育成。高校・大学生、検定協会と提携

日本海事協会(NK)は22日、ドローン教育導入を進める高校・大学などでの学生らの無人航空機操縦士の技能証明(ライセンス)取得サポートを目的とした業務提携について、ドローン検定協会と基本合意書を締結したと発表した。高校・大学生などが在学中に国家資格を取得しやすい環境整備について検討し、ドローンの社会実装推進を目指す。

学校で趣味の資格が取れるなんて!!!

11/27

三井E&S、LB港向けRTG受注。米セキュリティー強化後初
米国カリフォルニア州ロングビーチ港向けニアゼロエミッション型三井パセコトランステーナの受注 | ニュースリリース | 三井E&Sグループ
三井E&Sグループは、環境・エネルギー、海上物流・輸送、社会・産業インフラの3領域へ、物流の要となる船舶や、船舶の動力源であるディーゼルエンジン、港湾クレーン、産業機械、プラントエンジニアリングから海洋資源開発まで、多彩な製品・サービスを提...

株式会社三井E&Sと、当社の米国子会社であるPACECO Corp.は、米国の港湾荷役会社International Transportation Service, LLC.(以下「ITS」)より同国カリフォルニア州ロングビーチ港向けに、将来のゼロエミッション化を見据えたニアゼロエミッション型タイヤ式門型クレーン(三井パセコトランステーナ)8基を受注。本件は2024年2月に米国政府が発表した港湾におけるサイバーセキュリティ強化及び米国沿岸警備隊(USCG)を通じて発表した重要な商業用港湾に配備されている中国製のクレーンに対するサイバーリスク管理対策にかかる指令文書公示後、当社初の米国向けの受注案件。

11/28 

MEGURI2040、来年10月 実証本格化。無人運航船第2ステージ、オールジャパン結束

無人運航が実現することで、流通、人、コスト、交通などのMEGURI(循環)がよくなり、便利になる、そして2040年には国内を走る船の50%が無人運航船となることを目指しています。

11/29

NK、革新技術で認証。ROVシミュレーター

日本海事協会(NK)は26日、FINDi(ファインドアイ、本社・東京都港区)のROV(水中ドローン〈小型無人機〉)シミュレーター「FF Virtual」に対し、革新技術などを対象とするイノベーションエンドースメントの製品・ソリューション向け認証を実施し、証書を発行したと発表した。

下記別の会社の水中ドローンシミュレーター

三菱倉庫、車両予約の導入拡大。45拠点に「MOVO」。荷待ち・荷役2時間以内へ

Hacobuが提供するトラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」

三菱倉庫は、2019年からMOVO Berthを導入しています。先行導入した三菱倉庫大阪支店 茨木第一営業所滋賀近交運輸倉庫では、入場予約機能によりトラックの到着時間と車両・乗務員情報の可視化により、現地での荷待ち時間が9割減少しました。事務作業ではトラック受付業務が軽減され、現場では作業計画を立てやすくなり作業効率が向上するという三方よしの結果を生みだしました。このため、MOVO Berthの導入拡大は物流効率化と生産性向上を一度に達成できると判断し、使用拡大をしてきました。

お読みいただきありがとうございます。

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