株はギャンブルだ、いやそうではない、という逡巡。
ロマンと恐怖のはざまで人類は生きてきた、つまり人類の歴史はギャンブルの歴史である。リスクを取ることにロマンを見出せる人がギャンブラー。ギャンブラーたる勇者とそれ以外とで人類は二分しうる。ロマンはギャンブルの恐怖を緩和する一方で、ロマンが強ければロマン自体によって死ぬ。そこで冒険家はロマンをコントロールする理性が発達し、勇み足を抑える。だが行動が必要なとき、肥大化した理性自体が今度は克服されるべきものとなる。理性の上で理性自体を叩きのめし、行動に結びつけるのが思想、例えば武士道、哲学など。
狩猟、航海、戦争などを行う勇敢な個体が自滅リスクを受け入れ、集団や社会全体を守る。身を賭し水平線の向こうの外洋に漕ぎ出て島を見つけ、見知らぬ敵と剣を交えた。彼らには恐怖を抑えるロマンと理性が発達した。狩のない現代、その捌け口がギャンブルであろう。瀬戸内のちっぽけな島でもパチンコ屋が繁盛するのは海の男が暇つぶしにおとずれるためだ。海の男は気性が荒いが意外に自然を相手とする科学的知性があり、臆病ではなくギャンブル好きだ。海で命を賭けるから理性と観察力が発達するのだろう。
昨今のようにギャンブルを悪徳とするだけでよいか。株はギャンブルの要素があり、その自覚のないまま荒海に出ていくことは人喰鮫に食われに行くようなもの。ハイリスクかローリスクの選好を机上でできたところでやはりエイヤッで行動せねばならない。そこには理性を抑える思想・哲学が必要だ。会計のみならず、世界情勢や集団心理も読んで潮時をしらねばならない。勉強で補える部分はあるだろう。部分的に会社の権利を買うのが株、長期投資であればギャンブルではない、などとも思いたいものだ。だが実際の売り買いの判断や行動は、本当のバカの勢いか、肥大した理性を哲学思想で叩きこわして行動に繋げねばならない。葉隠武士道に通じる。株は究極には集団心理ゲームでありそれが生きるチャンスは少ない。机上で頭に入れた経営学やバランスシートの知識を積み重ね、リスクの選別をしておくのは良いが、平時にちっぽけな勇気で買うような匹夫の勇であってはならない。何十年に一度の恐怖を伴うチャンス、それを世間は恐慌というが、それを逆手にとって動けるかどうか。学んだことをすべて捨て、ただただ思想が試される瞬間がくる。天変地異や経済崩壊など不幸が起きた時に日本を支えるつもりで私財を投資する。
周りが総悲観となって行動できない人が殆どの時、つまり理性が肥大して立ちすくんでいる時に気狂いのように反対の行動し前にすすむ。集団心理、パニック売りで会社や人の本質的価値より時価が下がる時に、弱っている人や会社のためにと思って株を買い支える。そのタイミングをひたすら辛抱強く待つ。集団の不安心理、恐慌という集団の狂気と距離を置き大多数とは別の行動をする。皆が見捨てた株こそ買う。
まとめ。ロマンだけで動くのはギャンブルだ。理性で行動が抑制され優柔不断となって立ちすくんでしまったとき、行動原理、思想・哲学に基づいて行動する場合、それはギャンブルではないと考える。平時の暇つぶしのギャンブルはロマンだけであって匹夫の勇である。しかし、思想に基づいた恐慌に抗う投資こそ本当の勇気。日頃から戦争や天災を想定し、その時が来たら自分だけは他人と違う行動ができるとイメージし、平時に考えたとおりに公のために徹底して動く、思想に基づいた行動をする。鍋島藩の行動規範書”葉隠”には四つの誓願が書いてある。主君のため、国のため、公のために素早く行動する、日頃から物事を徹底的に行うクセをつけておき、積み重ね、その時に自信を持って動くこと。
一、武士道において他人に遅れを取ってはならない。
一、主君の御用に立たねばならない。
一、親孝行せねばならない
一、大慈悲を心に起こして人のためにならねばならない
古代から続く漁労や狩猟に、スパイスとしてロマンやギャンブルの要素があった。一か八かで強敵を倒し明日への糧を得るが命をかけて行動するためには、恐怖と理性を越えねばならない。それには思想や哲学を必要。
正直なところ株はギャンブルであると思いつつ、ギャンブルではないと思いたいです。株をギャンブルたらしめているのは安易なロマンでやる投資。恐怖<ロマン<理性<思想。思想で行動しましょう、というような事を言ってる時点でわたしも相当なギャンブル中毒に違いない。ギャンブル中毒がギャンブルして何が悪いねん。酒飲みが酒のんで何が悪いねん。
焼酎飲んでます。さつま白波。おいちい。お読みいただきありがとうございます。どうぞ良い週末をお過ごしください!
コメント
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愚痴ばかり並べて過ごす平凡な毎日・・・
いざと言う時、信念を持って動く自信ありません。
コメントありがとうございます。いいねボタンが不調なのが直せず、誠に申し訳ありません。
咄嗟に動くこと、防災訓練と同じようなものでその一部ができれば良しというものだろうと思います。
葉隠には「大自信大高慢で行動」と書いてあって、コーマン、コーマン・・・で立ち竦み、
コーマンタレブ~(はぁと)と最初にっこりしました。
現在のOECD議長がマティアス・コーマン氏だったと思います。多分高慢チキな野郎です。