恆春鎮 小社包子 

台湾人に扮して台湾語を使ってみたいが、顔のつくりが日本人然とした日本人顔なようで、どこへ行っても日本語で話しかけられる。助かる一方で、日本語を使いたい台湾人に合わせているような気もしている。この恆春の肉まん屋「小社包子」では日本語ではなく、台湾の言葉で熱く話してくれた。

恆春鎮の古城老街の南に位置する小社包子という人気の包子屋まで炎天下30分歩いた。夕方とはいえ、まだ高い位置にある熱帯の太陽光線に焼かれながら。日除け帽子を深々と被って向かった。恆春という地名は、いつも春のように暖かという意味でつけられたという。日本で春というと新春の寒い時期をさすことがある。こっちで春というと夏を指すのか?「暑くないもんね」とやせ我慢で春と言っているのか。汗びっしょで入店す。

看板メニュー「辣獅子頭包」を頼んだら「辛いよ、大丈夫かい?」とご主人に確かめられた。ちょうどよい辛さ、暑いときには辛いものを食べてシャキッとしたい。

唐辛子がよく効いている辛子高菜と、肉の餡。肉のかたまりを獅子頭(シーズートウ ライオンの頭)という。ふんわり柔らかで味がついている。その周りを覆うようにジューシーな辛子高菜がたっぷりまぶしてある。具だくさん。看板メニューで確かに美味いのでもう一個買いに再び店内へ。同じ「辣獅子頭包」をもう一つ、と頼むとご主人がおもむろに台湾の言葉で熱く話し始めた、聞き取れないが以下のように聞こえた・・・。

「なあ、美味しかったか?同じのじゃあつまんねえだろ、だよなあ、それなら、じゃなくてこっちよ、この写真みてくれ。どうだい、うまそうだろ?店主の俺が絶対の自信を持っておすすめする、俺が一番好きな最高なやつだ、不味かったら金はいらねえから!まじ食ってみ!絶対こっち食ってくれ!、まちげーねえから、まじでおすすめだ!」

完全な台湾語、私は台湾語はさっぱりわからない、が、熱のこもった台湾語から、はっきりそう言っているのがわかった。無論上記すべて脳内補正である。ご主人の顔に説得力があり、声の抑揚、身振り手振りなど、そこから誠意が伝わり、意は汲み取れた。以心伝心は存在するのだ、言外の表現がいかに大切か。

「うまそうだね、それ一つください」

「よし!そうこなくっちゃ。絶対自信あっからよ!いい選択したねえお客さん」

それがこれ。美味しいっす。

具は鴨卵の煮卵、角煮、肉団子(獅子頭)、辛子高菜。こっちのほうが具の種類が多い。パクっとかじる場所ごとに色んな味が現れる。なるほど、こっちは美味しいに「楽しい」「飽きない」も加わる。おやっさんの言う通りにしてよかった。ぱくついていたらさっきのおやっさんが急に店の外に出てきて、近寄ってきて度肝を抜かれる。ウガググ。

「どうだうめえだろう?まずいか?わるくはねえよな!」

とさっきは使わなかったスマホの翻訳を見せにきた。感想を聞きたいようだ。やっぱり日本人だとバレていて日本語訳だ。私はもぐもぐしながら慌てて、どうせ台湾の言葉もようしゃべれはせんのでグッド👍️サムアップを何回もしてその場を凌いだ。予期せぬ行動をしてくるから台湾人は面白くていいのだが、危うく辛い高菜を蒸せるところだった。その二個目の商品名、メモこそしてはいないが「この店で一番うまいやつをくれ(給我最好吃的包子)」と言えばそれが出てくるのは間違いない。ぜひお試しを!(^o^)

お読みいただきありがとうございます。

場所 

小杜包子 · No. 20, Henggong Rd, Hengchun Township, Pingtung County, 台湾 946
★★★★☆ · 蒸しパン店

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