アメリカの対中国戦略を知るために役立つかもしれません。アメリカの昨今の動きの背景を知っておく必要があると考えます。
米国大西洋評議会(Atlantic Council of the United States)のHPより 米国の対中政策のシンクタンクの一つ。現行の対中政策を明文化したものとも言えるし、より政策を強固にすることの必要性を説いた提言でもある。2021.1に出されたもの。
Longer telegramは対中グランドデザイン(習近平政権を内部崩壊に導く)を明確化することの必要性を述べている。対中政策の戦略の明確化、習近平政権と中国共産党との分断、アメリカの堪忍袋(レッドライン)をはっきり示すことの必要性を述べている。明確化するということは現在の対中政策をもっと強硬にやれということ。
アメリカの堪忍袋の尾が切れる=レッドラインとは?
①核・生物兵器使用 ②台湾攻撃 ③同盟国への攻撃(尖閣攻撃など) ④南シナ海軍事化
③④については中共がやっていることは既知のとおり。武漢コロナウイルスも①の可能性が示唆されている。②台湾の領空侵犯など目立ってきている。既に中共がやっている事柄を明確に「やったらどうなるかわかっているな」と示すことが必要だとLonger telegramが述べている。また、日米関係では「尖閣諸島とそれに関連するEEZに対する日本の主権を侵食しようとする北京の企みに抵抗しないと1951年の日米安全保障条約が損なわれることを認識している」と明記してある。
”Longer telegram”を理解するために過去にあった”Long teregram”を知る必要がある。このLonger telegramに先立つ半世紀前、Long teregramは”対ソ連”グランドデザインの変更のきっかけとなった。在ソ連米国大使館勤務をしていたケナンが約8,000語にも及ぶ「長文電報(Long telegram)」を1946年2月22日モスクワから米国国務省へ打電した。その内容はソ連の実情を分析し米ソ関係のあり方を提言したものでトルーマン政権のトルーマン・ドクトリンに影響を与えた。のちアメリカ国務省の政策企画本部長に迎えられたケナンは著者名をXとして、X論文を発表した。骨子は「ソ連封じ込め」。その1つ目は「合衆国の西欧援助政策」経済復興を通じて共産主義の影響を西欧から排することを主張した論考。2つ目は「ソヴィエトの行動の源泉」と題するソ連分析。対ソでことを構えるというよりじわじわ封じ込めを行うという政策提言。以降、大東亜戦争中は”大同盟”を結んだ米英とソ連との関係であったが、米国を中心にソ連を長期に封じ込める政策に転じ40年以上かかってソ連崩壊に至った。ケナンの「封じ込め」の意味合いは持久戦の意味合いで局地で抑えていくこと。大規模戦争を意味しない。
X論文「ソヴィエトの行動と源泉 ケナン」の要旨
ソ連は独裁維持のために共産主義と資本主義は相容れないというテーゼ(虚構)から抜け出せない。これを似非科学的に説明している。「クレムリンは決して過ちを犯さない」無謬であるという前提で共産党が認める”真理”以外の真理は存在を許されていない。
They would instead turn their focus to the long-term goal of “[filling] every nook and cranny available to it in the basin of world power.” To oppose them, the United States would need long-term strategies to contain Soviet expansionary ambitions. Containment against the Soviets, Kennan explains, would require an application of “counter-force” along shifting points of geographical and political interests. This “perimeter defense” concept, wherein all geographic area were considered of equal importance, required the United States “to confront the Russians with unalterable counter-force at every point where they show signs of encroaching upon the interests of a peaceful and stable world.”
ケナンは言う。ソ連を理解する上で重要な概念としてソ連が「資本主義と社会主義との間には、内在的敵対関係がある」と考えソ連と資本主義国とは共通の目的を持ち得ないこと、本質的に相容れないことを前提としている。一時的にこれに逆行する行動があれども、そのことをもって「ロシア人は変わった」などと喜ぶのは誤りである。
ケナンの提言は、ソ連が積極的に資本主義側を打倒しに掛かるわけではない。ソ連は自らの目的を急いで達するように強制されていない。故に、個々の局面では比較的容易に譲歩するが、1度の敗北程度で簡単に屈服することもない。散発的行動でなく長期的政策によってのみ、有効に対抗できるのである。従って、米国の対ソ政策の基本は、ソ連の膨張傾向に対する、長期の、辛抱強い、しかも強固で注意深い封じ込め(containment)でなければならない。ただしこの政策は、外面的「強硬さ」を見せることとは関係ない。ロシアが威信をあまり損なわずに受諾できるような要求を提示することが肝要である。
新しく最近できた冒頭のLonger telegramがかつてケナンの書いたLong telegramやX論文を意識して書かれたことは明確で、現在進行中の対中包囲網はソ連崩壊までの封じ込めに似た立案(一部実行)と考えられ、冒頭の論文が対中グランドデザインをより明確にするための第二のX論文になることを期待されて書かれたもの。ソ連も中国共産党も同類であるから、特殊な共産主義に対抗するために対ソグランドデザインに習って習近平政権が崩壊するまで何年かかろうとも辛抱強く封じ込めを維持することが必要、ソ連崩壊まで40年かかったときのように。
原理主義者がときおり見せる寛容さというものは、自分の原理への”一時的背信”にすぎないから信用してはならないと親心でこのシンクタンクの論文は教えている気がします。
もうやりませんと言っては何度も捕まるヒロポン中毒のようなもの、共産主義には中毒性があるようで、まともになったようなことを言ってすり寄ってきたとしても決してきゃつらに騙されてはいけません。気をつけよう、甘い言葉と、・・党。
キヨハラ頑張れ~
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