剣道の練習帰りに子供の肉眼で見た星は明るく目がチカチカしました。視力がきっと良かったんでしょう。おとめ座はギリシア神話で農耕の女神に紐付けられ、農民を天にいる神様が見守る、言い方を変えれば監視されているようなもの。天の星の美しさ対する驚きと畏怖の気持ちが子供のころにありました。視力が落ちて星が見えなくなった擦れっ枯らしの大人には効果がないことかもしれません。双眼鏡で星をみて畏怖の気持ちが少し蘇りました。お星さまが私を見ていた、と。
星座や星が天球に出没する”循環型紙芝居”にダイナミックな物語を添えたギリシア神話を星座と合わせて読み直すと面白いです。星座のめぐりに寄せて神話の辻褄を逆に合わせた部分もあって荒唐無稽に見えるところはありますが。例えばエジプトの王妃が感謝の気持ちで神殿に捧げた髪の毛をゼウスが気に入り、それを天に上げてかみのけ座を作ったという話、前半は史実、後半は無理やりでありましょう。
法のない世界で悪に罰を与えるのは神、神に名を借りた権力による制裁です。力を正当化するために神は存在し、神話や星座が補完した・・・などと星を見ながら陰鬱な妄想にすすみました。「いつも我々を見ている」のポスターと同じように星たちはわたしたちを常に監視している・・・星の美しさに発露した得体のしれない畏怖を、神話はうまく吸収したから広まったのでは・・・山や海、万物に神が宿ると信じ、道具一つ捨てるにもお世話になりましたと惜別する私の基礎部分は、物への擬人化と美しいものへの畏怖に基づくのかもしれない・・・。そういうわけで「全天星座百科 藤井旭」を読み直しています。
春の宵空に見える悪役3星座。ヘルクレスがやっつけるワルい奴ら。
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赤道儀は使わないと、やはりこの程度・・しかも光あふれる千葉市内の公園。星座を見るにはちょうどいいけれど。
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画像中心部分に位置する獅子座のアルギエバは2つの星から成っていてお互いの引力で結びつき共通の重心を公転しています。また、しし座流星群の放射点が近いことでも知られます。
かに座(Cancer)としし座(Leo)とうみへび座(Hydra ヒュドラ)は春の悪役星座で、ヘルクレスが退治します。まずヘルクレス(ヘラクレスと同じ)がうみへび退治。
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上のツボの下のほう、ヘルクレスの足元にカニ(カルキノス)が現れた!ウミヘビの一味でヘルクレスの敵です。
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9つの首を持つヒュドラ、ヘルクレスが首を切っても切っても生えてくる、1つの切り口から2つの首が。そこで、ヘルクレスの助手イオラーオスが断端を松明でジュッジュッ!と焼灼凝固します(手術助手が焼灼止血するみたい)。悪役ウミヘビに加勢したシーフード軍団のカニ野郎。
かに座の中心に不気味なモヤモヤが。
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モヤモヤの実体をプレセペ星団といい、ぼーっと見え、これを某国では「積尸気(死体から立ち上る気)」と見て鬼宿(カニの死体ではなく人の死体)と名付け、一方ギリシアでは人の魂が天から降りてくる場所としました。魂の通行方向が真逆ですネ。ガリレオはプレセペ星団をカイバ桶、2つの明るい星をロバに見立て、北のロバと南のロバが飼い葉桶から食べているシーンに見立て、「かいば桶(プレセペ)」と名付けました。イギリスではハチがブンブン飛んでいる様子に見立てて蜂の巣と呼ばれるようです。
最後にしし座。ジャングル大帝やらライオンキングの王様イメージとはかけ離れた化け物人食い獅子の悪役です、ギリシア神話では。化け物人食い獅子をヘルクレスが退治します。矢も刃も立たない人喰獅子に対し、ルーベンスの絵によるとフロントチョークで首絞めを決めて退治。ソッチのほうが難しそうじゃん、というツッコミはしない方向で。。
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最後までお読みいただきありがとうございます。明後日から星を見に山に行きます。
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