我が国の国家安全保障に携わってこられた人のお話を聞いてきた。
・歴史を見るときは縦軸(時間軸)と、横軸(パワーバランス)で見る。
・米国のパワーによって進んできたグローバリゼーションに急ブレーキ。ナショナリズムの台頭。
・ウ戦争、はプによる戦後のリベラルな国際秩序への挑戦である。
・オスロ合意(1993) イスラエルを国家として、PLOをパレスチナの自治政府として相互に承認する。イスラエルが占領した地域から暫定的に撤退し、5年にわたって自治政府による自治を認める。その5年の間に今後の詳細を協議する。
・キャンプデービッド会談決裂(2000)、イスラエルのバラク首相とアラファト。入植地の継続。
・緊張が高まっているタイミングで、神殿の丘(三宗教の聖地、現在はムスリムのみが礼拝を許される)に、イスラエルシャロンが訪問。オスロ合意によって神殿の丘のイスラム支配強化をおそれたシオニストが背景。これを挑発と捉えたイスラム側が第二次インティファーダ蜂起。
・神殿の丘は擁壁に囲まれ、イスラム教の聖地岩のドームとアル=アクサー・モスクがある。かつて境内にエルサレム宮殿(第一・第二)があったのでユダヤ教徒は外壁越しに祈りを捧げる、通称「嘆きの壁」。
・国際法上の自衛権(国連憲章)。国際関係における武力行使、原則禁止、例外として自衛権を認める。武力行使に該当する場合自衛権が適用される。国際関係とは一般に国家対国家。ガザはどうか。パレスチナが国家であるかどうか。(ヨルダン川西岸地区のPLO、ガザ地区にハマス、パレスチナ勢力が二分している)
・第一次世界大戦はスペイン風邪の流行によって収束した。全世界で4500万人の病死者、我が国での病死者は45万人。ちなみに日露戦争戦没者は8.4万人。ちなみに全世界covid-19病死者は2024年10月時点で700万人。
・Gゼロの時代。グローバルなリーダーシップの欠如。欧米の影響力低下。イアン・ブレマー、デビッド・ゴードンの造語。Gゼロ、無極化侵攻の中で米中覇権争い。Gゼロという表現自体米国のプレゼンス低下と、途上国が責任を果たさないことを誇張した表現。
・ツキディデスの罠。覇権国家と台頭する新興国との関係が「恐れ」によってぶつかること。グレアム・アリソンの造語。スパルタがアテネの拡大を恐れた故事から。
・地政学的対立。海洋国家と大陸国家は対立する。朝鮮半島は大陸国家にとってのリムランド、海洋国家の日本がそこを取ったのは地政学的にどうか(おそらくパワーバランスが崩れるという意味合いに聞こえた。国家は勢力均衡を保つためにパワーポリティクスに専念すべき。キッシンジャーの考え方に繋がる。日本を中心に考えたら朝鮮半島はリムに成らないか?)
・米海軍士官マハンは海軍力(海上権力)が国家権力を決定づけるからアメリカもシーパワーになるべきとした。英国地理学者マッキンダーの「ハートランド」と「外部弧状地域」「内部弧状地域」の後者2つを、ニコラス・スパイクマンは「リムランド」と言い直した。ハートランドの拡大を防ぐためにリムランドへの介入が不可欠とした。(ジョージ・ケナンから始まる対ソの封じ込めや、昨今の対中封じ込めにつながる話。米国のグランドデザイン決定はマハン地政学に遡る。周辺域の戦闘というより経済的封じ込め、兵糧攻めに近い。日本も食らったが。)
・中国は日本に対し韜光養晦の姿勢を取っていたが最近は外交姿勢が変化した。一帯一路、武力による一方的現状変更など。
・ウ戦争絡み。
2005.4プーチン教書演説「ソ連の解体は20世紀最大の地政学的大惨事」(ソ連の出現こそが20世紀最大の大惨事であるが。。)
2021/7/12プーチン論文「ロ人とウ人の歴史的一体性について」(ウはロの一部、大陸国家の膨張主義)
停戦条件折り合わない。問題は力による一方的行使による主権侵害、領土略奪を認めるのかということ。戦後国際秩序の崩壊に繋がる話。台湾等への波及も考えうる。
・安保三文書 岸田文雄内閣が2022年12月16日に国家安全保障会議決定および閣議決定。「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の3文書。反撃能力の保有が明記された。防衛力強化、防衛力のGDP比2%。
グローバリズムと調整しながら国益を考えているのがよく分かった。他所の国の安易な解決方法を許すと自分の身に及ぶ。
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