マンゴーの種を丸呑みできたのは誰だ evolutionary anachronism

スーパーに沖縄のマンゴーが売られていた。名前にぎょっとした「キーツマンゴー」略してキツマン。。締まりがきついのか、匂いがきついのか。。甘みはそれほどキツくなく、香りも良く言えば上品。母数一個でなんとも言えないがキツーというほどパンチはない。追熟が足りなかったか。ただでさえ「マンゴー」なのに、更にその上「キーツ」ときた。役満じゃ。

沖縄のキーツマンゴーの収穫時期は8月中旬から。それに先立って5月に台湾南部から台湾の赤いマンゴー🥭の収穫が始まり徐々に北上し、7月に台湾マンゴーは旬を終える。マンゴー前線は海を渡り、沖縄に到達するのが8月と、北へ移ろっていくかのようだ。もちろん品種も違うので前線という一括りはできないが。さてその品種だが、台湾のマンゴーは赤くアップルマンゴーとも呼ばれる。沖縄のキーツマンゴーは青い。キーツは若い≒緑色を表現していて品種が違う。タイやフィリピンのマンゴーは黄色くてこれもまた美味。赤青黄色と信号のようだ。どの品種も腐りかけ寸前の、皮の色が黒変して「やばい腐らせたかな」ぐらいのほうが経験的に芳香がよく味もいい。桃やバナナのように皮が黒変したほうが甘みと香りがあり美味しい。台湾アップルマンゴーはメキシコ産アーウィン種で、商品作物として農政上導入されたもの、台湾固有ではない。濃厚な甘味が特徴で宮崎県、沖縄県でも栽培されている。タイのマンゴーはペリカンマンゴー(フィリピンマンゴー)に似た姿で、平たくて黄色い品種。甘さとやや酸味がある。黄桃のような味わい。フィリピンマンゴー(ペリカンマンゴー)は果実が平たくて黄色い。キーツマンゴーは果皮が緑色で緑をあまり失わずに皮が黒変していく。これも甘くて美味しかった。

種が真ん中に一個で、味が桃に似ていることから、マンゴーが桃の仲間であるかどうかと考え、調べてみた。種にケバケバ繊維があり無理にしゃぶると歯に挟まるところも似ている。結論から言うと、マンゴーはウルシ科、桃はバラ科スモモ属で遠い共通祖先だが大きく分岐していて人間と猿ぐらい違う、近縁ではない。

種を一つ持つことを核果という(桃、梅、さくらんぼ、マンゴー、ココナツなど)。ところでこの大きな種、動物が丸呑みしてクソで散布するという分散システムに乗るとは思えない。マンゴーの種は手のひらサイズで、イカの舟みたいで、刀状で薄く鋭く、喉を通るときや肛門を通るときを想像するだに痛そうだ。丸呑みできる動物。。。象と恐竜とを思い出した。象の肛門の詳細を知らないが、象であっても切れ痔になりそうだ。

更新性末期(約一万年前)に大型動物が絶滅したことによって、植物の種子分散システムが大型種子の植物では機能しなくなった。大型動物という分散パートナーがいなくなってからは母樹下に種子が散布されるだけとなった。過去の動物と植物の共生時代の遺産であるのが種の大きさであるというわけだが、この説、まだ議論があるらしい。前時代の敵から身を守るトゲが、敵の消失後も残ることなどを含めて「進化的時代錯誤」と洒落た名前がつけてある。

まとめ、

“キーツマンゴー” から“キツマン”と考えるアホな人は渉猟した限り少数派ではあるが、私以外にもいらっしゃった。

でかすぎる植物の種は恐竜時代の食い物だった名残では、と考えている人は私以外にも居た。


やっと涼しくなりました。どうぞ良い週末をお過ごしください。

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