ベンガラという機能素材

ベンガラとは酸化第二鉄の赤い粉末である

縄文時代から使われた赤色顔料「ベンガラ」は酸化第二鉄、無機顔料の一つです。インドのベンガル地方(バングラデシュはベンガル人の国という意味で、バングラデシュあたり)で産出したことに由来しますが日本でも産出します。例えば備中の吹屋です。

赤 ベンガラはこんな色です

赤鉄鉱という鉱物をすりつぶして作ります。ラスコー洞窟やアルタミラ洞窟の赤色壁画は後期旧石器時代(17000年前)で色料はベンガラです。

日本で、赤色は厄除け、魔除けの色と考えられ古代から使われていた、墓の内装などにも

日本では、赤は魔除け、厄除け、再生の色と考えられていたようです。草木由来の有機顔料と異なり、無機顔料は変色しないので鮮やかな色を維持します。高松塚古墳の壁画の赤のように。ベンガラは仏教寺院の瓦や柱にも使われていて昔の寺院は赤かったようです。柿右衛門の赤もベンガラで備中吹屋のベンガラが使われました。

HgSの色「朱丹」は、酸化第二鉄ベンガラよりも鮮やか

真朱・辰砂色 自然のHgSの色「朱丹」はこんな色です。

赤 ベンガラはこんな色です

一方で、朱、つまり辰砂(硫化水銀HgS)が、毒性があるにも拘らず使われたのはベンガラと比較できないほど鮮やかで木材に対する防腐効果があったためでした。ラッキーカラー的な含みのある朱色は、伏見稲荷、厳島神社、東大寺中門、鶴岡八幡宮等の神社仏閣の丹塗りや朱漆や朱肉等に使用されました。

辰砂の水銀毒性から、その代用として鉛丹(主成分は四酸化三鉛、昔の鉄道車両の屋根)やベンガラが使われました。

高松塚古墳を彩る顔料、辰砂も使われている

高松塚古墳壁画の色料に関する材料調査報告

高松塚古墳の色料にも辰砂が使われています。ベルトが辰砂です。

真朱・辰砂色 (硫化水銀)

赤 ベンガラ (酸化鉄)

黄 稲荷黄土

青 群青 

緑 緑青

wikipediiaより。

磁性をもたせた酸化第二鉄を薄膜に塗れば記憶媒体になる

ベンガラは酸化鉄、これに磁性をもたせ磁性酸化鉄としたものを薄膜に塗ればカセットテープやビデオテープになります。酸化鉄由来の赤茶色をしています。酸化鉄が磁性を持ちやすいか否かは結晶の形できまり、針状結晶は棒磁石のように磁化後極性を持ちやすく、針状の酸化鉄結晶粉を化学合成し磁性のある酸化鉄として利用します。

その後酸化鉄粉の代わりに高保磁力の酸化クロム粉が使われたり、コバルト被着酸化鉄を磁性粉としたりしました。コバルト被着のほうはTDKのイノベーションでアビリン磁性体といいます。さらなる記録特性の向上のため、金属粒子(いわゆるメタル粉)が開発されました。メタルテープってそういうことです。

<参考>

磁性酸化鉄の合成

磁気テープ

ベンガラ色の町並み、好き好んであの色なのではなく、ベンガラが耐候性、耐久性に優れる機能性塗料であるから

宮島の裏通りの古い町並みは景観維持のため弁柄格子のベンガラ色に統一されています。祖父の家を改築する際にも新しい門扉や窓格子のアルミサッシまでベンガラ色だった。子供の頃はなんでこんな沈んだ色を、、と思ったものです。耐候性、耐久性において優れる建材塗料、べんがらの色だったのだとは知りませんでした。

また話は飛ぶけれど、東京メトロ浅草駅の新しいデサインはベンガラ色を採用、浅草寺の赤と統一する目的で。先に述べましたがベンガラの赤は魔除けの色でもあるようです。

普通は使われない「赤」が新しい浅草駅のデザインに使われたわけ

まとめ

まとめですが、酸化鉄のベンガラ色は、特に古い町並みや寺社、漆器、カセットテープ、有田焼の赤の彩色など、様々な場所で実は目にしていたという話でした。ベンガラ赤の漆に至っては縄文から使われています。最後まで読んでいただきありがとうございます。

ベンガラ 

真朱・辰砂色 自然のHgSの色「朱丹」

銀朱 黄みの強い赤、 朱丹に水銀と硫黄を混ぜあわせた物を焼いて造った人造の赤色顔料、現在の朱はこれ。朱肉もこの色。同じくHgS

<参考>

http://achem.okayama-u.ac.jp/iml/theme/pdf/bengara.pdf

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