丸の内のエリート達が詰まった冷たい建物を背にして、東京駅から外堀通りを渡ると、お酒飲みのあなたにはパラダイス、ココが八重洲です。
天下の東京駅の至近なのに、八重洲地区の”くったり”した感じにそそられます。
今昔マップ(明治期)をお示しします。オレンジ色に着色した部分が八重洲で、元職人町です。駅近くの飲み屋街というと赤線とかカフェーがあった場所だったりしますが、ココは違います。元職人町、折り目正しい飲み屋街です(と書いたあとで調べたら結構ピンクの店もあります・・)。水色に着色した部分が水路で、左の空白地(丸の内)にのち、東京駅が出来ます。
八重洲の周囲は三方水路で、西側には外堀川がありました。埋め立てられ現在は外堀通りです。今も昔も「丸の内」はエリートで、丸の「外」が八重洲。丸の内と八重洲を隔てる分界が外堀。外堀には橋が架かっていましたが取り調べの門があり、おいそれと庶民が通れる橋では無かったようです。
東京駅から僅かにしか歩いていないのに、八重洲に入るとまるで坂を転がり落ちるようにクッタリした感じになるのは、外堀の内外、つまり官民の境界に外堀が厳然と横たわっていたからであると考えられます。丸の内から滝壺に落ちるように八重洲に吸い込まれたあと、高島屋の在るきらびやかな東海道に出るとき、再び品格が急上昇します。東海道を過ぎると天下のおおたなが軒を連ねる日本橋で、レベルは高い状態を保ったままです。
この八重洲という職人町の立地、陽の当たる丸の内、東海道、日本橋に挟まれた八重洲。まるで出来の良い長男と三男にはさまれた次男坊のようです。ちなみに東海道は現在「中央通り」と呼ばれ、国道1号線の始まりです。
おさらいしてみましょう。東京駅から歩いて、外堀通り、きらびやか~!東京駅八重洲口が右手。
八重洲に入ると・・庶民的~!というか空気感が違う。
八重洲を突き抜けて東海道に出ると。再びきらびやか~(ある意味居心地わりい~!)
両端のきらびやかさに挟まれ、コントラストが大きすぎるからだけでなく、比べなくても絶対的に八重洲はちょっと渋いです。
外堀通りの架橋ですが、八重洲橋は明治5年に出来て、一旦撤去され、大正時代に東京駅八重洲口の開設に伴って再架橋されました。外堀は東京空襲の瓦礫によって埋められ、呉服橋は、地名に橋の名前を残すのみです。溝が埋まったのは比較的最近である、ということです。
美味しいビール屋を見つけて、やっと八重洲地区を知りました。路地の入り組み感とかおっさんが煙草を吸える路地があることとか、飲み屋も多く最高です。夜ともなると酔っぱらいがあふれる雰囲気がまるで新橋のようで探検欲をそそられます。
記事を書いたあとに東京DEEP案内を見たら、八重洲の事情はどうもそんな簡単ではないようです。駅前の未開発地区にありがちな「戦後のドサクサ」で入り込んだ”面倒な人々”の権利関係で再開発が進まない側面もあるようです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
コメント
東京駅のすぐ近くに、こんなくったり感の場所があるんですね~!(゚д゚)!
東京駅周辺は全部ビルばっかだと思ってました…(^-^;
こんにちは、コメントありがとうございます。
私は田舎者のオノボリさんなので、摩天楼に驚く一方で、
開発から取り残されたエアポケットのような場所にも親近感をおぼえます。
こういう場所でお酒を飲んでると一人の隣客によく話しかけられますネ。
他業種の丸の内のサラリーマンから知らない話が聞けて面白いです。。
1人でそういったお店に行くのは勇気がありそうなので、誰かと一緒の時に行ったみたいと思いました(*^^)v
今の八重洲は、綺麗なお店がほとんどで、渋めのお店は少数派です。綺麗なお店に埋まるように渋い雰囲気のお店が散在しております。個人的興味からこう言う写真ばかりに偏りましたが安心しておいでくださいネ。