よく使う蕎麦屋さん。店員さんは略号で注文を端的に厨房へ飛ばします。
「おおはこてんひとつ!」
私の頼んだ「箱そば、天ぷらつき、大盛り」のオーダーが元気よく厨房に短信で飛んでいって、厨房から復唱が聞こえました。待ちかねつつ、卑しいさもしい顔を見せてはならぬぞ、と自らを戒めつつも、まだかなぁ、おせぇなぁ、と腹は正直にグウグウ鳴りくさる。午前中の接客中からグウグウ鳴ってたんだ、ワシの腹。飛び交う声に耳を澄ませる、次も違う、また違う、そのときふと・・
「おおだぬきでーす!」
そっちに一瞥くれると、たぬきそばの大盛りを「オオダヌキ」の略号とともに狸のようなおばちゃん店員が客に供していました、自己紹介に見えて笑った。オオダヌキです、と聞こえたのははじめて。まるで「ワテは田舎から出てきたオオダヌキと申します。よろしゅうおたのもうします」と自己紹介しているように聞こえました。おかしさを堪え、紳士の私はどうにかポーカーフェイスを貫きました。
通ううち「おおはこてん」と私も一丁前に云うようになる、だってそうやって店員さんが持ってくるんだもんで。そうだ思い出した、最初に私が「オオハコテン一つ」と店員に向かって伝えた時に、「箱そば大盛り天ぷら?」と逆に訝しげに聞き直されたっけ。店員同士の符牒を客が使うと店員はメチャクソ不安になるようです、こっちは伝わりやすいと思ったまでなのだが。まあ餃子の王将でイーガコーテルリャンガーホーとか客は云わないだろうし。
これが”箱そば”、お重みたいな塗の箱に、つゆ入れ、おちょこ、そばのせいろが3 in 1になっています。これが美味いんだ。出前用の道具にも見えますが店内で供されます。この店の看板メニュー。千葉のこの界隈は戦前まで花街であったからお座敷に運ぶための道具であったかもしれません。この界隈は古く「蓮池」と呼ばれ、料亭や芸妓置屋などがありました。軍都としてかつて栄えた千葉市、軍人さんやお医者さん、旦那衆、議員さんなどでたいへん繁盛した時期がありました。
”箱そば”+”天盛り”で”箱天”の完成。ただ麻雀の覚えのある人に「ハコテン」は少々耳に障る。そばを大盛りにすると”大箱天(オオハコテン、店員によりオオバコテンと濁音化)”となり、いつもこれを食べます。
お店からお金もらっていませんし、私はアフィリエイトもやりません。単におすすめです。
暑い日が続いております。どうぞ良い週末をお過ごしください。
コメント
「おおはこてん」は「おおだぬき」でしたか?
今の季節にピッタリです。
蕎麦は総じて大阪より東京が美味いです。
麻雀のはこてんは勘弁して欲しかったですね。
コメントありがとうございます。うどんは関西の昆布と鰹の白だしのつゆが旨いですが、蕎麦は確かにつゆも含めて関東のほうが美味いと私も思います。ハコテン以外に麻雀で食べ物といえばヤキトリがありました。