めも

・銀行は他人の真似ばかりしている。他の皆が崖から飛び降りれば彼らも飛び降りる。部屋の真ん中に金塊があっても誰も手を出さないならそれを触ろうともしない。(イーロン・マスク)

・美しさの背後に貫く真理を知ろうという行為が憚られるほど、ひれ伏さざるを得ない美。先入観や知識がありのままに見ることを妨げる。知ってるから楽しい、と、知らないから楽しいとがあるように、知らないから美しいと思える場合がある。知には限界がある。

・麦に含まれるデンプンを分解する酵素は麦自身が持っていて、水につけて芽が出たときに活性化する。芽が出た麦をモルトと言う。デンプンを分解した糖に頼って育つ。芽が出る時点から糖化酵素が活性化するのはとても合理的だ。ビール製造では、芽が出る状態のモルトの、活性化した酵素だけ頂戴する。酵素が死なない程度で麦の成長が止まる塩梅の熱風をかけて、麦の成長を止める。ここのところ気づいた昔の人偉いわ~。

・兼房株式会社の由来は藤原兼房という刀工の名跡に由来する。兼房の刀は徳川家、織田信長、武田家など名だたる戦国武将に重宝された。美濃伝。藤原兼房には同姓同名がいる。平安時代末期の公卿太政大臣を勤めた兼房。もう一人、平安中期の歌人兼房。歌人が刀を作っていたのではなく三人は別人。

・クイーンというバンドがある。クイーンと命名したのはフレディ・マーキュリーである。クイーン自体が同性愛者の隠語でもある。惑星記号を調べていたら、水星、つまりマーキュリーの記号☿が雌雄同体を指すことを知った。念が入ったことにマーキュリー☿は生物分類のリンネの中性記号なのだ。巷で知られるようにフレディ・マーキュリーは同性愛者で早逝した。

・ネギの根本のところをコップに入れて育てると伸びる。豆苗でそれをやると台所が占拠されるぐらい伸びて驚く。育てるとネギごときに感情移入し、包丁で切るときわずかばかり手が止まり申し訳ない気持ち。分業は感情を生じさせないため。育てる人、運ぶ人、料理する人、分けてあるから無感情に飽食できる。飽食の解決に、生産から消費まで一貫すればダイエットになる。イタダキマスの儀式は屠殺の感情や弔いの名残だろう。

・林家木久蔵がラーメン屋を経営すると聞いて、この人は馬鹿のふりをして騙していたと疑いの目を持った。だがその後、ラーメン屋が傾き木久蔵ラーメンが失敗したとき、嘘じゃなかったと思った。テレビは嘘をつかない、と騙された。テレビは嘘、と本当に気づくまでそのぶん時間がかかった。

・急に“持続可能”とか“多様”とか、聞き慣れない言葉とともに、SDGsという怪しげなアルファベット運動が始まった。アルファベットのつく運動は全て眉唾だ。目標と未達成の自分の間に一枚の壁を想定するのとは違い、SDGsというのは、けったいな目標を複数たてる。敵または目標を同時に多数示される飽和攻撃のようだ。害がないようにさえ見え薄い壁がたくさん同時に現れる。壁というよりサランラップのような薄膜がたくさん現れサランラップでぐるぐる巻にでもされる感じ。馬鹿げている。

・我が国の生態系を脅かす危険生物については外来危険動物に指定され、駆除する方向になっている(ヒアリ、カミツキガメ、ワニガメ、台湾ハブ、アライグマ、アメリカザリガニなど)。人間が持ち込むことが原因。生物多様性を守るために、外来生物を入れないというのが正しい。だが、その前提で、なぜ移民をいれることだけは多様性を守ることになるのか?政治家というのは違法ペットショップか。

・もう少し「肉付け」していただけますか?と具体内容を質問しながら、骨格標本に粘土を貼り付けさせている気がした。肉付けの語源は「彫刻で、できあがった基本形に肉をつけること」であるから間違ってはいない。化石からの想像図の多くが間違っていて、恐竜図鑑のアイツラは毛むくじゃらだったかもしれないしもっと表情が柔らかかったかもしれない。恐ろしい竜だというふうな方向性で肉付けせざるを得ないモデラーの葛藤を想像する。もし「古竜」とか別の名前だったら図鑑の内容も変わっていただろう。

どうぞ良い週末をお過ごしください。

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