1944年10月12日、朝7時19分、日本統治時代の台南および高雄を米軍が空襲した。台南上空、日本海軍兵曹長であった杉浦茂峰氏搭乗の零戦三二型は米軍機F6Fと交戦、尾翼を攻撃され墜落した。その際、人家のある海尾寮部落に落ちないよう、人のいない畑か養殖池に機体が落ちるよう杉浦氏は操縦、落下傘で降下。しかし執拗な米軍機は降下中の杉浦氏を機銃掃射し死に至らしめた。享年20歳。杉浦氏は水戸市出身、五軒尋常小学、三の丸尋常高等小学校を卒業している。
大東亜戦争後しばらく経って、海尾寮の人々が白い服を着た魚泥棒を見た、と噂する。同じく白い帽子白い服を着た人が夢にも出てきたと複数名が経験した。地元の人々が「保生大帝」に尋ねると、それが空中戦で戦死した人の亡霊である、と告げられる。保生大帝(ほせいたいてい)は、道教神で福建省の閩南と台湾で信仰されている。その後1971年、地元の有志が集まり、その海軍士官は部落の恩人であるとして感謝のために祠を建てた。その後村は安泰、畜産も順調であった。我が国の皇族の方や日本人のお参りも増え1993年廟に立て直すことを決定し、地元の人々の奉納によって飛虎将軍廟が建てられた。

飛虎=戦闘機のこと。
将軍は杉浦さんへの尊称。
タバコ7本をお供えし、「君が代」と「海行かば」が祝詞として流されている。日本の軍人が地元の神の一つとなっていることが興味深い。手厚く祀っていただいていることに、台南の海尾寮の人々に対し心から感謝する。

<参考>
飛虎将軍廟 https://aoisystems.jp/hikoshogun/ja/
飛虎将軍廟 · No. 730-1號, Da'an St, Annan District, Tainan City, 台湾 709
★★★★★ · 道教寺院
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